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遠野物語へようこそ (ちくまプリマー新書 127)

遠野物語へようこそ (ちくまプリマー新書 127)

遠野物語へようこそ (ちくまプリマー新書 127)

作家
三浦佑之
赤坂憲雄
出版社
筑摩書房
発売日
2010-01-05
ISBN
9784480688279
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遠野物語へようこそ (ちくまプリマー新書 127) / 感想・レビュー

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ホークス

遠野物語の持つ強烈な異世界感は、語り口によるらしい。恐ろしい山人の話では「山々の奥には山人住めり」「これを語りて平地人を戦慄せしめよ」と有無を言わさぬ事実として突き付ける。神隠しでも「異人にさらわれて行く者、年々多くあり」と断定する。思わず緊張し怯えた時点で、既に術中にはまっているのだ。又、多くの話に共通する死の匂いは、遠野物語の魅力として特筆すべきものだと思う。本書は囲炉裏端で老人から聞く、昔話の後日談の様である。やや学術寄りでちょっとくどいが、そこも何やら明治を感じさせる。

2018/05/29

純子

学生時代に手に取ることもなく、東北旅行でも立ち寄らず。けれどずっと気になっていた。若者向けの入門書だということですが、私にとっては読みがいのある本でした。何の宗教心もないけれど、八百万の神様の国としての日本が好き。「妖しにみちた不思議の森の物語」であり「日本民俗学の発祥の記念碑」でもあるこの物語には、そんな私の興味を引く話が盛り沢山な様子。『千と千尋の神隠し』『龍の子太郎』などの名も出てきた。井上ひさしさんも新釈本を書いているとか。ますます興味を引かれる。そのうえしをんさんのお父さんが書かれていたとは。

2017/02/23

sankichineko

あくまで入門書ですが、豊かで真っ直ぐで厳しい、そんな遠野物語の世界を見せてくれました。100年以上前に出版された初版わずか350部の本が、今も大切に読み継がれている。本の価値を発行部数で判断する愚かさがよくわかります。

2019/06/27

椿 釦

文系いらない、と言われたり文系は見下されがちだけれど、物語を編む、想像力の強さって生きる上で絶対に必要だと思う。なぜ人間が生まれてきたのか、それは研究や数式で解けるものなのかもしれないけれど、世界の不思議に物語を与える事でしか救われない人がいるし、それはこの世を豊かにする事だと思っている。遠野物語の文学としての豊かさに胸がときめく。この物語があることに安心する。遠野物語自体は私にとって読みにくさがあるので、この本で完全な補完が出来る。そして岩手で買ったのよね、この本。いい買い物をした。

2019/09/15

マーブル

 『遠野物語』は素材を無造作に並べたかのような雰囲気がある。神話、昔話、噂話が分類されず、解説もされずに並べられ、一読しただけでは容易に理解することができない。本書はその素材の一部を取り上げ、料理して見せてくれている。その背景、成り立ち。これから『遠野物語』を紐解こうとする際のうってつけの道案内。柳田は喜善からの聞き取りを出版するにあたり書き加えなど行っていると言う。そのためより説得力や断言する意図がはっきりしている部分があり、『遠野物語』はやはり文学的傾向を持った柳田の書いた「物語」なのかもしれない。

2018/11/29

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