好きなのにはワケがある: 宮崎アニメと思春期のこころ (ちくまプリマー新書 207)
好きなのにはワケがある: 宮崎アニメと思春期のこころ (ちくまプリマー新書 207) / 感想・レビュー
ホークス
宮崎アニメに込められた思春期への強いメッセージを臨床心理士が丁寧に解説。例えば「千と千尋」で親が豚になるのは、親も一人の人間だと知るショックを表す。そうだったのか。「トトロ」のメイと五月は思春期の前と最中を表す。だから気になるのか。中でも「ハウル」の謎解きには目からウロコが落ちた。皆気づいてて私が鈍かっただけなのかなあ。著者が「海のトリトン」に衝撃を受けた話が冒頭にあって印象的。思春期は複雑な世界を受け入れる時なのだ。私は漫画「どろろ」だった。人間の成長に向き合う著者の熱さと優しさが素敵な一冊。
2019/06/01
あんこ
わたしは未だにつらくなるとジブリアニメをひたすら観てしまうのですが、観る度に印象が変化するのは小さい頃のわたしといまのわたしが違うから自己投影の仕方も変化しているのかなと思います。プリマー新書から出ているこちらはカウンセリングの観点からジブリアニメと思春期の子ども達の心境を解説しています。児童向けですが、大人が読んでも十分おもしろい本です。むしろ、思春期の子ども達への接し方に悩んでいる方にも勧めたいです。昔の自分を振り返るきっかけになったりするのではないでしょうか。学校の保健室などに置いてほしい本でした。
2014/05/31
タルシル📖ヨムノスキー
臨床心理士の著者が、スクールカウンセラーとして10代の若者と関わっていく中で、よく話題に上る宮崎アニメ。なぜ宮崎アニメは思春期の若者の心をつかむのかを分析した本。この本で取り上げているのは、〝となりのトトロ〟、〝千と千尋の神隠し〟、〝ハウルの動く城〟、〝魔女の宅急便〟。〝ラピュタ〟と〝耳をすませば〟が出てこなかったのはちと残念だが、正直、「ここまで深読みするか」って感じ。コレに比べたら私なんか、本の上っ面しか撫でてないじゃないかと、ちょっと落ち込んだ。とにかく〝センチヒ〟の分析はすごいです。ぜひご一読を。
2019/07/29
純子
思春期相談室では宮崎アニメのことが度々話題にのぼるのだそうです。河合隼雄さんの著作の影響を受け、筆者も物語を読み込み、奥に秘められたものを探るようになったのだとか。思春期の子どもたちの心のうちにあるものと宮崎アニメの物語にあるものをリンクさせながら書かれた文章には興味深いものがたくさんありました。思春期は第2の誕生だと聞いたことがある気がしますが、それまでの幼い自分との決別という意味で『喪失』『死』のイメージにつながるものがあるのだと書かれていたのには新鮮な感じを受けました。
2017/03/27
あんこ
再読。思春期の観点から考察するジブリ。再読してみても、こういう視点からでも観ることができたのか、と新鮮な気持ちになりました。魔女の宅急便やカオナシの件はわたしも同じ捉え方をしていたのですが、トトロに関しては大学のとき、倫理学の講義で全く異なる観点から考察していたので、「これ!」という正解がないのもジブリの魅力だなと思いました。
2017/07/05
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