古典を読んでみましょう (ちくまプリマー新書)
古典を読んでみましょう (ちくまプリマー新書) / 感想・レビュー
molysk
古典を読んでみましょう。意外と面白いかもしれません。分かりにくいですが、慣れれば、古典だって分かるようになるはずです――。こんな書き出しで始まる本書だが、やはり古典に慣れるのは難しい。それは古典が時代によって少しずつ違うから。公式文書を書く専門家のための漢文から始まり、貴族がこころの機微を記したかな文字の文となり、武士の時代には理解しやすい漢字とかな文字の混じった文体へ。さらに文化の受け手が町人や農民に移れば、主題も変わっていく。理解するのが難しいいろいろな古典は、日本語がもつ多様な表現の裏返しといえる。
2022/02/06
calaf
日本語は曖昧、そして識字率は昔から世界有数。これは結局、日本語の特徴に基づいた自然な結果という気がしました。正式な記録は漢文、心情を吐露するのは和文や和歌、漢文が読めない人が増えた事を憂いて出てきたのが和漢混交文、戦後は話し言葉と同じように書く言文一致。もちろんこれらの事は学校で習って知っていたものの、本当の意味では理解できていなかったのかなぁ・・・
2014/10/06
瀧ながれ
「古典は書かれている言葉がまず違います。」から始まる古典入門。難しいよ、でも慣れたら奥が深くて楽しいよ、ということが書いてあって、『源氏物語』や『平家物語』、『枕草子』や『御伽草子』など例えとして登場する文に、丁寧な解説がされるので、ものすごく読みたくなる。同じ日本だけど、文化も風俗も違うのだと考えて、古典文学を気長にじっくり読んでいきたい。
2014/12/19
さぜん
橋本さんの「桃尻語訳枕草子」が面白かったゆえ、今回も期待して読むがやはり一筋縄ではいかない。様々な古典を引用して解説が続くがまだ染み込んではこない。日本人が自国の文章を読めないのはやはり悔しい。平安の時代を生きた人達と現代を生きる人を繋ぐのが古典なのだ。長い時間をかけ日本人が作りだした表現方法の豊かさは素晴らしい。もっと理解できるようになりたい。
2014/09/08
ユーユーテイン
どんな古典を読むんだろう?と思い、読んだ。古典は立派なもの、というイメージがあるけれど、下らないものだってある。文学作品や文体は、その時の社会情勢によって作られるもので、今の社会や今の自分からは全く予想できないような発想が古典の中にはある。慣れていないから読みこなすには労力がいるけれど、知らないで過ぎるには惜しい。だから、読んでみませんか?という本だった。橋本さんが読者の心中のつぶやきを想像して書いているのが面白い。手間はかかっただろうなあ。一葉、御伽草子、愚管抄に興味を持ち、読んでみたくなった。
2014/08/05
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