杉浦茂マンガ館 第2巻
杉浦茂マンガ館 第2巻 / 感想・レビュー
夜間飛行
どの話も流れがとてつもなく奇妙だ。その中に例えば、女が唇を大きくするカラカバ族など面白い知識や画をさりげなく混ぜている。「少年児雷也」は、雷獣の肝を飲みガマの術を得た少年が蛇やナメクジと戦う話。斬られた人体からビニール管みたいな血管が飛び出すなど奇想天外なシーンの連続である。字やコマを急に大きくするやり方は、赤塚不二夫がバカボンパパの顔を突然大きくシリアスに描いたのと似ている。あちらが洗練された作品を作るマンガ工房なら、こちらはその場その場で色んな趣向をくり出してお客をとことん楽しませる紙芝居や見世物だ。
2019/08/25
Toshi
ありきたりの形容だが、これらの作品が1950年代に描かれたとは思えないぐらい古さを感じさせない。ギャグのナンセンス度からすると、最近のマンガよりぶっ飛んでいるのではないか。ターザンやアボットとコステロが登場し、タイトルも途中から「ピストルボーイ」になってしまう「コッペパンタロー」もとんでもないが、「少年児雷也」に至っては、ギャグを通り越して最早アバンギャルド。首は飛ぶわ、謎の生命体に変身するわ。これを1950年代の子供たちが受け入れていたと言うのも凄い!あとがきは糸井重里さん。
2020/10/13
brzbb
時系列に読むといろいろわかることがあっておもしろい。おきまりのギャグがあることとか、最初は読者と同じような町内から始まってアフリカに行ったり海賊に出会ったりアメリカに行くとなぜか西部劇の世界でカウボーイになっちゃったりとか。いまとは漫画というもののありかたが違っていて、「それ前に描きましたよね」なんて指摘する人はいなかっただろうし。こどもたちのごっこ遊びをそのまま漫画にしたよう。当時のアメコミや西部劇映画、喜劇、コントなどあきらかに作者が好きなんだろうなというものも詰めこまれてる。児雷也がかわいい。
2023/01/09
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