杉浦茂マンガ館 第3巻
杉浦茂マンガ館 第3巻 / 感想・レビュー
夜間飛行
「ミスターロボット」「アンパン放射能」「ゴジラ」「0人間」等を所収。科学への関心より、むしろ科学をナンセンスの目で素通りしつつ笑いや共感を後に残す作品群である。ロボットが予防注射を受けに行く話では、いくらやっても針が刺さらず、失敗した注射器を全部食べてしまう。しかし、相手をロボットと気づかずに針を刺し続ける医者への批判は感じられない。ロボットを義足の兵士と勘違いして百円を恵むおばさんも又然り。昭和30年代に二極化した科学礼賛と批判のいずれでもなく、科学と人間の幸福なすれ違いを見つめる眼差しは今も親しめる。
2019/08/29
紅独歩
この巻の白眉は「ゴジラ」と「大あばれゴジラ」。映画のストーリーに沿いながらも、いつのまにか杉浦噺になっている。放射能=最先端科学だった頃の牧歌的傑作「アンパン放射能」、新青年の変格物(というより、くだんのはは?)の味わいがある「赤色館の秘密」等、読み応え十分。コロッケが食べたくなる。
2009/03/30
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