杉浦茂マンガ館 第4巻
杉浦茂マンガ館 第4巻 / 感想・レビュー
夜間飛行
作者80代の「聊斎志異」…絵師に賄賂を送らなかったせいで醜く描かれた美女・王昭君が、どうせ匈奴に渡すなら醜女にしろという元帝の命で、砦から西へ送られていくドラマを、犬と人形を使って老人が演じる。漫画としては、王昭君を取り戻せなかった幼なじみの呂胡陽が、崖上から寂しく見送る場面で終わる。王昭君の残酷な運命と呂胡陽の哀れな後ろ姿が、ドタバタ芝居の可笑しみに包まれている所に味わいがある。確かに悲哀と寂寥もあるけれど、漢民族中心の一方的な価値観に乾いた風が吹きこみ、変幻自在な夢想を運んでくるようでむしろ清々しい。
2019/09/01
mass34
二元論のつくり出す自由。中沢新一は、こう解説している。▼大人の世界は、現実が原初の世界を抑圧した一元的世界だが、杉浦茂の世界は、二元論という別の原理が働いている。大人の体内に、子供と大人の原理が同時並行に生き続けているのが、杉浦茂の世界だ。▼中沢が言うような二元論的世界が広がっているのだとしても、そこには、お決まりのパターン、キャラクター、絶妙の間で出現する異形のモノ、いつものセリフが繰り返し登場する。一見自由そうでありながら、絶妙に配置された定形が、杉浦マンガの自由な感じを強調しているように感じられる。
2015/10/17
ヨミトロール
猿飛佐助の文庫本は持っていたけど、あちこち違う部分がありました。術で出てくる超グチャグチャの絵がたっぷりあるから、こっちが元々のバージョンかな。でも、うどんこプップのすけが出てこないよ。猿飛の目が好きさ。
2013/09/23
紅独歩
晩年の怪作「聊斎志異」を含む東洋編。他は「猿飛佐助」と「少年西遊記」。いずれも杉浦茂ワンダーランドとはVer.が違うので、読み比べて見るのも一興。特に虫プロ版の「猿飛」はグロテスク度が高目で面白い。
2009/03/31
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