柳田國男全集 13
柳田國男全集 13 / 感想・レビュー
てれまこし
出版事情が厳しくなる中、この頃の柳田は恵まれていたらしく、一年に何冊もの本を出版している。さすがこの辺にくると、古い文章を寄せ集めたものが多くなる。言いたいことが言えない時代でもあったのだろうが、時局への発言も少ない。既に確立された民俗学の枠内に閉じこもり、思想的な発展は余り見られない。本人はもう半分隠居のつもりでいたのだと思う。これが敗戦により再びその老体を鞭打って民俗学の枠を超えた仕事を始めることになるわけだから、敗戦も悪いことばかりではない。学生に語りかけた『日本の祭』には既にその萌芽が見られる。
2017/12/23
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