柳田國男全集 16
柳田國男全集 16 / 感想・レビュー
てれまこし
柳田と言えばまずは日本の固有信仰ということになったのだが、この時期の彼がこの問題に没頭したのは歴史的な文脈がある。まずは、近代化によって失われていたと思われた信仰が、戦争を契機に復活したように思われたこと。次に、敗戦・占領によりそうした信仰は再び見失われるのではという懸念。確かに、日本の固有信仰を守ろうとするナショナリスト的姿勢が見られる。しかし、日本を世界から切り離そうとしたのでもない。むしろ国家神道ではない民間信仰に近隣民族の信仰との共通点があると考えた。アジア主義や帝国主義との関係は再検討を要する。
2018/08/29
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