柳田國男全集 30
柳田國男全集 30 / 感想・レビュー
てれまこし
戦争が深まる中、柳田は民俗学徒の全国組織化と資料蒐集・整理に沈潜する。しかし、成果は挙がっているが、約束された民俗学の効用があまり現れていないことに焦りやら諦念やらが感じられる。民俗学の効用を一般に売り込みながら、民俗学は目的ではなく方法によってしか正当化されないのではないかと弱音(?)をはいたりする。日本固有の文化や精神の発見など時局に沿った能書きを垂れながら、実は本人も信じ切れていないのじゃないか。普遍的な人間学という視点が抜け落ちた民俗学は、柳田にとっても期待はずれな成果しか生まなかったのだろうか。
2018/01/10
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