トーベ・ヤンソン・コレクション 1 軽い手荷物の旅
トーベ・ヤンソン・コレクション 1 軽い手荷物の旅 / 感想・レビュー
榊原 香織
ムーミン作者が大人向きに書いた短編小説集。 旅、老い、そんなテーマが多いが、書きかけみたいな感じのするのもある。 どれもストーリーより、作者の個性ー人嫌い、感受性強し、芸術家気質、少しパサパサした感じーが際立ってくる印象。
2022/01/11
きりこ
主に旅をテーマにした短い話あれこれ。「往復書簡」は実話かと思ってしまいました。わずらわしい人間関係から逃れたくて、自由と孤独を求め旅をする男性の話「軽い手荷物の旅」や帽子がモチーフになっている「見知らぬ街」はスナフキンを連想させます。「植物園」は植物や風景を見つめるのではなく、感じ取りたいと沈黙を守り続ける老人の話。自分の信念を貫く頑固な老人たちが面白かったです。多くの心理描写によってヤンソンさんの人物像が浮かびあがり、様々な想いが伝わってくるような短編集でした。ノートブックのような装幀が素敵です。
2014/06/21
mii22.
トーベ・ヤンソンコレクション〈1〉生きている自然の美しさや厳しさの中で旅人の視点で語られる短篇集。ちょっぴりのユーモアとたっぷりのシニカル。不穏で心がざわめくお話ばかりで、落ち込んでいるときに読むと打ちのめされそうな短篇もある。噛み合わない会話やぎこちなさも、やがて理解し合い折り合いをつける人と人の関係に苦々しくも安堵する。
2017/11/24
ちょん
ムーミンを描いた人の頭の中にこんな世界があったのか、と新しい発見を感じながら読了。 文中に「今空腹かどうか自分に確認してみる」という内容がありました。うーん、これいいな。私いつも何も考えずにお菓子とか食べてしまうから...。これ心がけよう!!
2021/05/28
くみ
「ムーミン」シリーズで有名なトーベ・ヤンソン。しかしそれ以外の作品も残してます。これは表題作を含む短編集。穏やかな作品だけでないことに驚きますが、そういえばムーミンシリーズも内省的な部分もあったと思い出す。はっきり書かれていないが希望のない結末が想像されてぞっとする「思い出を借りる女」「ショッピング」「鷗」。かと思えば同性同士の対立がこんなに円満に収まるとは!「エデンの園」「植物園」。日常から結局抜け出せない「軽い手荷物の旅」。現代から見ると厄介なエリスの方が正道。時代によって常識は変わる「夏のこども」。
2019/01/30
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