トーベ・ヤンソン・コレクション 3 クララからの手紙
トーベ・ヤンソン・コレクション 3 クララからの手紙 / 感想・レビュー
榊原 香織
ムーミン作者の大人向け短編集3冊目。 読みにくくはないけど分かりにくい。 色に例えると灰色に近い青、みたいな。 何か硬質な異質感を覚える。 ムーミンでもかすかにそれはあった、が、わずかなので却って愛すべき味になっていた。 なんだろ、北の寒さ、なんだろうか
2022/02/28
くみ
表題作を含む短編集。一筋縄ではいかない作品たち。掴めそうと思ったらするりと抜けだして舌を出してるミイみたい。特に「ルゥベルト」「エンメリーナ」「8月に」「睡蓮の沼」!好きなのは「海賊ラム」「夏について」他の作品よりさらっとしていた。実際に夏は孤島暮らしをしていたトーベ。その思い出も元になってるのかなと思うと興味深々。
2019/02/04
ゆのん
再読。言わずと知れた「ムーミン」シリーズの原作者の短編集。もちろんムーミンも好きだが短編がとにかく良い。上手に読者の期待を裏切り、小気味良い皮肉にはニヤリとしてしまう。本作の中では「八月に」「睡蓮の庭」「汽車の旅」「エンメリーナ」「リヴィエラへの旅」がお気に入りだ。風変りな能力や性格が描かれているものも多いが、日常の事だと思い込まされてしまう、そんな不思議な作風を出せる作家は多くはないように思う。故に私にとっては大変貴重な作家の一人となっているのだろう。
2017/08/01
kankoto
一編読む毎にため息をつきつつその余韻にしばし浸る13の短編。どこかひんやりとした感覚を突きつけつつ。個である人と人が通じ合う事の難しさなども。でもこのひとりの感覚がこたえられなく好きでもあったりする。「夏について」は特にひとりの言葉がちりばめられている。けれど誰もがきっと幼き頃にこのような時間をもっていただろう。
2014/03/23
qoop
自由と孤独という半ば必然的な両者、融和と決別という不条理めいていながらも親和性のある両者。本書に納められた短編にはどれもこの二つの流れが琴瑟相和して伺える。〈海賊ラム〉と〈汽車の旅〉は他者との距離を図りつつ自己の内で芯を養う過程を書き、〈ルゥベルト〉と〈絵〉は性急に行き過ぎたものと留まって耐えたものとの対比だろうか。〈事前警告について〉〈エンメリーナ〉〈リヴィエラへの旅〉は鈍色に広がる曇天の、モノトーンに見えて多彩なグラデーションのよう。表題作は「石の原野」所収の〈若き日の友情〉と対比させると面白い。
2017/09/23
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