アンドレ・ジッド集成III (シリーズ・全集)
アンドレ・ジッド集成III (シリーズ・全集) / 感想・レビュー
ピンガペンギン
三部作「女の学校」、「ロベール」(2作は1929)「ジュネヴィエーヴ または未完の告白」(1936)を読んだ。「女の学校」恋愛結婚した妻が相手に目がくらんで心酔していた頃の日記と、20年後の日記の落差。男性作家が書いた短いものだが、不自然な感じはない。皮肉なことに主人公は不幸な結婚生活で人間的に成長しているように見える。一部後の作品と矛盾がある(娘を気にかけなかったと言っているところ)。「ロベール」を読み、夫の言い分を聞く。だがこれが読もうとしても頭に入りにくく、困った。「ジュネヴィエーヴ」を読み、両親→
2024/08/20
みつ
『法王庁の地下牢』のみ読了(p5〜248)。中心となる人物が頻繁に変わり、特に最初に登場する人物たちのその後の物語の進展との関係は薄く戸惑いは隠せず、それでも不思議な疾走感をもたらす作品。題名からキリスト教との関係を掘り下げる作者らしい内容かと思いきや、法王を巡る怪しげな風説に翻弄される人々とそれを利用する集団、プロトスという怪しげな人物の暗躍、彼らからも孤立してゆくラフカディオの行為が徐々に繋がっていく。「悪なるものは、善と同様に《無償》でありうる。(p178)」というのがこの作の基調をなしているのか。
2023/05/03
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