ねぎ坊主畑の妖精たちの物語
ねぎ坊主畑の妖精たちの物語 / 感想・レビュー
バニラ風味
最初に登場するのが、人参とショウガの精。もう、ここで想像力が試され始めてる感じがします。その後、美味しそうに、たわわに実るのに鳥が全く食べに来ないびわの木の話や、夜中に汽車を見に行こうと思いついた少年の話など、ファンタジックの後ろから、じりじりとミステリアスが迫ってきます。著者は宮沢賢治についての作品も書いているので、その影響もひしひしと感じますが、唐突な登場人物の不可解な行動などは、ちょっと不思議の国のアリスにも似ているかな、と思います。
2016/01/02
misui
買い直したので再読。詩的な飛躍や語られない空白が脈絡を乱して異界の秩序をほのめかす。天沢作品の中でも特に危険な一冊。
2018/10/31
misui
天沢退二郎の小説を読むのは初めてなのだけど、詩のときよりもある程度話の筋がはっきりしている分たちが悪い。あくまでも瞬間的に浮かんでは消える詩作品に対して、小説は、身のかわしようがないどころか問答無用で読者をテキストの沼に引きずりこもうとする。切り結ぼうとしても物語が説明されることはないし、その空転したところに夢魔が襲いかかってきます。で、この短編集はシリーズのサイドストーリーを含んでいるらしいのですが、これがシリーズ化(しかも児童文学で)されているのがとんでもないなぁと。今後読むのが楽しみですよ。
2010/04/05
寛理
☆☆☆☆ よく理解はできないがこの世に確実に存在する不思議なルールに触れてしまう体験。しかし文体は明晰。
2020/02/06
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