KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

つむじ風食堂の夜

つむじ風食堂の夜

つむじ風食堂の夜

作家
吉田篤弘
出版社
筑摩書房
発売日
2002-12-01
ISBN
9784480803696
amazonで購入する

つむじ風食堂の夜 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

あじ

食堂前のつむじ風さんとダンスを踊った。ぽふんぽふんと心地よく、つむじ風で私を抱き上げる。春風のように柔らかくて、木枯らしのように賑やかだった。時々、食堂のお客さんにちょっかいを出している。それは見るに見かねた、限りなく透明なお節介。静かな夜に窓を開け、つむじ風さんを招き入れたい。心地よい物語の旅だった。

2015/06/03

ぶんこ

絵の無い大人の童話を読んでいるような、宮沢賢治の世界のような雰囲気の漂う物語でした。 クラフトエヴィング商會の本も読んでいるのですが、今の私には合わないようで、もっと若い頃の感性を持ち続けていたら、夢中になっただろうと感じました。 月舟町は昭和の牛込あたりの都電沿いの町を彷彿とさせ、なんだか懐かしい気分になりました。

2015/05/23

とも

★★★★☆満点にしようか迷いながら、わずかばかり抑えた採点にした。 形式は連作短篇集であり、1章1章が独立していながらも、最終的には 「つむじ風食堂」に収束していく。いつも通り 文章や表現、内容に鋭角な部分が無い吉田篤弘独特の世界感が最初から最後まで満ち溢れて安心して読んでいられる。これこそ優しく上質な大人のファンタジーだと感じながら。満点にしなかったのは、途中まで連作であることがわからなかった為に、個別の短編として読んでしまった悔しさから。ということで、いつか再読した際にはおそらくは花丸付きの満点。

2016/09/06

Ikutan

『それからはスープ~』を読んで、吉田さんの描くどこか懐かしくて温かなこの町が好きになりました。舞台は安食堂。店の前の十字路ではいつもつむじ風が吹いている。ただの万歩計を『二重空間移動装置』とのたまう帽子屋、それを喜んで買ってしまう主人公。果物屋、豆腐屋を抜けたところにある彼の住まいは月舟アパートの屋根裏部屋。そこには、手品師だった亡き父の形見の品、袖口が2枚。なんだか不思議で心地よい世界です。住人たちの会話も興味深い。どこに視点を置くかで、『ここ』の定義も変わってくるんだね。ほっこりとしたい時にオススメ。

2015/08/08

キンモクセイ

幻想的な感じが漂う。「つむじ風食堂」十字路の角にぽつんと灯をともす。「私」と食堂に通う少し変わった人たちの不思議な不思議なお話。読み終えて、なぜか夕方子供の頃祖父とよく行った洋食レストランを思い出した。それはとても懐かしく、とても温かく、とても切なかった。目を閉じると祖父と手を繋いで歩く幼い私がそこにいた。大人になった私は泣いていた。そんなノスタルジックな気分にさせるお話だった。

2019/10/13

感想・レビューをもっと見る