君は永遠にそいつらより若い
君は永遠にそいつらより若い / 感想・レビュー
なゆ
再読。この本で初めて津村さんの文章に触れて、「なんかすごく好きな感じ!」と思ったのを思い出す。結構重めの話なのに、ホリガイの行動は時にどこか面白かったりして、暗い話には感じない。ホリガイの根底にある屈折したわかりにくい優しさに、津村さんの作品にずっと通じるモノを感じる。イノギさんとの微妙な関係にはちょっとびっくりだったりもするけれど、冒頭のシーンの意味を知るととても切ないような気持ちに。〝そのときその場所にいられなかったことが悔しい〟〝あなたのことをいつも気にしている〟そんな言葉の優しさが沁みた。
2015/09/16
chimako
感想が書きづらい。主人公は大学4年生の女子ホリガイ。登場人物はカタカナと漢字とで出てくる。その都度書き出して検証すればよったと後になって思う。ホリガイは児童福祉司を目指し、その職に就く事が決まっている。人は生きていると恐ろしくいろんなとに遭遇する。何よりも焦燥が勝ってしまい 自ら死を選ぶ者もある。生きている証を欲しくて血を流す者もある。想像を超えるような目に遭っても、生きて帰る者もある。自身の体をもて余す者もある。女が好きな女もいる。自ら死んだ友の遺書が一人の子供を助けることもある。とにかく今は生きる。
2017/03/11
❁かな❁
津村作品2作目です!ミュージックブレスユーに出てくる主人公のキャラに近い感じの主人公ホリガイはポチョムキン(女の童貞・笑)です。最初どんなお話になるか予想もつかず日常が津村さんらしい文体でゆるいユーモアも含みながら描かれていきます。後半には最初の方でよくわからなかった事がわかってきて、とても重いエピソードもいくつも出てきます。ホリガイの優しさ、正義感を感じました。他の登場人物も個性的でイノギさん、オカノなどいい子でした。最後の方でタイトルの意味もわかります!デビュー作と思えませんでした!コメントへ続く
2013/02/24
めろんラブ
きっと強烈に心に沁みたからだと思う。読後、感情が波立ちうろたえてしまった。こういう物語にはなかなか出合えない。「自分に会いたいと思う人などこの世にいないだろうと思いながら生きてきた」女、ホリガイ。彼女の孤独な魂のなせる言動は、「そうだった自分」あるいは「こうありたい自分」の写し鏡のよう。重いテーマながら、軽妙な語り口とリアルな人物描写には笑い所が沢山あり。本作でデビュー。才能豊かな作家の誕生は、独特の歓喜を連れてくる。津村さんには、「デビューおめでとう」ではなく「デビューありがとう」の言葉を捧げたい。
2009/12/02
里季
津村さんの初期の作品。太宰治賞受賞。お仕事小説に入る前の大学生たちを描いたもので、この作品もまた私のお気に入りとなった。心の動きを捕らえるのがうまい作家だ。登場する大学生全員に好感が持てる。天真爛漫な子や繊細な子、鬱屈したものを持つ子、などそれぞれが一生懸命な感じがしていい。「君」が誰かわからなかったけれど、主人公ホリガイの今を作りだしているカギになる子供だということがわかり、鼻がつんとした。
2016/01/07
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