という、はなし
という、はなし / 感想・レビュー
ユメ
フジモトマサルさんが描いた「読書の情景」という24枚の絵。吉田篤弘さんがひとつひとつにストーリーを添える。コンセプトからしてわくわくする。作品は、短いながらも個々の世界観にとっぷり沈ませてくれるものばかりだ。彼や彼女が読書という幸福を満喫している作品を読むことで、私たちは二重に幸福を体験できる。お気に入りの掌編「読者への回復」にこんなフレーズが出てくる。「『読者』であること。肩書きはそれだけでいいのだ」その言葉通りに、この本は、日頃のしがらみを取り払い、純粋な「読者」へと戻してくれる。とっておきの一冊だ。
2015/03/17
めろんラブ
以前どこかでお見かけしたような・・・、そうそう!穂村弘著『にょっ記』の装画!いたち?がシュールな可愛さを振りまいていたっけ。さて、こちらは全24話のショート・ショート。1話毎に本を愉しむ動物が登場。まずフジモトさんの絵ありきで、それを元に吉田さんが物語を創る・・・挿文というスタイルだそうな。絵は美麗なオールカラー♪シンプルなようで細部にこだわりが光る作品ばかり。動物達の真剣な姿に物悲しさや愛おしさを感じるのは、ヒトが見え隠れしているから。「本読み」を自認する方、きっとあなたを描いた一作に出合えるかも。
2010/11/29
新地学@児童書病発動中
これはお勧め。薄い本なのでさっと読めるが、どの物語も深みと広がりがあって、空想の世界にはばたくことができる。主題は本だ。本の中に広がっているわくわくするような世界に、本書を通して入っていくことができる。このあたりは「クラフトエヴィング商會」で活躍している吉田さんの筆力が生かされている感じだ。初めて接したフジモトマサル氏のイラストもシュールで可愛くて、非常に好みだった。影が主人公のシュールな物語で(イラストもシュール!)、影の優しさが心に沁みる「影の休日」が私のベスト。
2018/04/04
masa@レビューお休み中
フジモトマサルの挿し絵を見ていると、ますむらひろしの『銀河鉄道の夜』を思い出してしまう。はじめ、普通のエッセイかと思い読み進めていたが、途中でようやく創作挿話だということに気づく。挿し絵に登場するのは、すべて動物たちである。あるときは猫が電車に乗り、またあるときは白熊が屋根で空を見上げたり、うさぎがベッドで横になったり…。共通しているのは、どの動物も必ず本を読んでいること。絵を見ながら、文章を読みながら、物語の世界に飛び込んでしまうのが、きっとこの本をクリアするための正攻法なんだろうな。そんな気がする。
2012/04/30
里愛乍
ブックカフェにてお店にあった本。可愛いイラストに大好きな吉田篤弘さんの文とくれば案の定楽しさ増し増しでいい気分転換になりました。挿絵ではなく、はじめにイラストありきの挿文という構成が吉田さんらしくて洒落てる。めちゃくちゃ共感したのが『希有な才能』確かにこのまま最後まで読ませてよってなる時ありますよね。ホームのベンチで続き読んじゃってるとこも同じ。楽しく「読書の情景」を珈琲とともに味わいました。
2023/12/29
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