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通天閣

通天閣

通天閣

作家
西加奈子
出版社
筑摩書房
発売日
2006-11-01
ISBN
9784480803993
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通天閣 / 感想・レビュー

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風眠

西加奈子は、不思議な作家だ。読み始めは「うーん?読み切れる自信が無いかも・・・」と思わせて、中盤あたりから「読めるかも」になり、ラスト近くで急にグイッと私を引っ張り込む。思いもしないやり方で引っ張られるので、びっくりする。大真面目なのに、何でか笑える。東京タワーではこうはならないな。通天閣だからなのかな。生き別れの親子が偶然出会っているのに、当事者である登場人物に気付かせない。完全に確信犯だな。くっさい会話、ありえない展開、無駄に高いテンション。だけど心が動く。つくづくと思う、西加奈子は不思議な作家だと。

2015/09/01

えい

ありがとう、って言いたい。最後の文字まで味わったとき、そう思った。ふたりの視点から物語は動き出す。段ボールを潰すだけの仕事を毎日こなす男。死ぬほど好きだった彼が突然の留学で消えてしまった女。誰にも愛されない、必要とされない生活。そんなダメ人間、ゴミ人間、クソ人間。でも、生きている。ただ生きている彼らは、そうして……。「お前の一生は、これからずっと、ずっとそうなのか。生きているのではない、死ぬのを待っているような、そんな人生で、それで構わないのか。」まずしい、情けない、やるせない。でも、それでも、人間だ。

2017/12/01

chichichi

ただそこにあるだけで強烈な印象を残す…通天閣。そんな通天閣に見守られながら大阪ミナミで生きる者たちの日々。様々な思いがあるが皆『生きる』ことに必死。ミナミだからか?西さんだからか?登場する人々のキャラが濃い(笑)そんな濃い人々に圧倒されながら読み進めていった先にあるこのなんとも言えないポワっとあったかい感情。西さんだからか!

2016/01/27

naoっぴ

通天閣の見える部屋にひとり住んで製品工場で働く男。帰らぬ恋人を待ちながらスナックで働く女。二人それぞれの話が並行して進んでいく物語。章の冒頭に挿入されるのは彼らの夢の中の描写だろうか。内面的でべったりとした孤独を感じるが、現実では彼らの生活は個性豊かな人間に彩られているのだ。人は内側に孤独を抱えながらも互いに支え合い、影響し合い、意識しなくても確かに共に「生きている」のだと気づかされるような物語だった。好きな人ばかりじゃないししんどいことも多いけど、疲れたらゆっくり歩きのんびり寝るのも悪くない。

2018/10/11

ミカママ

これいい、ぜったいいいです。西さん作品の中でも一番じゃないかな。オビ通り、「人生にちょっぴり暖かい灯をともす」物語。さえない中年も、失恋しちゃう女の子もとっても共感できちゃう。ぜひ読んでみてください。

2012/07/30

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