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こちらあみ子

こちらあみ子

こちらあみ子

作家
今村夏子
出版社
筑摩書房
発売日
2011-01-10
ISBN
9784480804303
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こちらあみ子 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

なんだか…せつなくて悲しい物語。だけど、彼女には確固とした自分の内的世界が存在している。それが他者と交点を結ぶことはないけれど。「こちら、あみ子」という呼びかけは痛切。

2012/02/27

zero1

今村が【驚異の作家】なのは、このデビュー作を読めばわかる。【変な子】あみ子は母が書道教室を開いている。その母は身重だったが悲劇が…兄は不良となりあみ子自身も学校で【はみ出し者】に。トランシーバーで応答を求める彼女の声は誰かに届くのか?人の目を気にせず生きる女の子をこんな風に描けるのは今村だけ。後に芥川賞選考委員たちをも困らせた(後述)彼女の作品世界は、とても言語化できない。この作品が生まれた環境も異質(後述)。何度読んでも的確なレビューを書けない。だからこそ私は何度でも読みたい。太宰賞、三島賞受賞作。

2020/02/21

風眠

これ読んだ後『窓際のトットちゃん』をザーッと読み返してみた。トットちゃんが環境と理解者に恵まれた子供ならば、あみ子は恵まれていないような、そうでもないような子供だ。でもきっと、あみ子のようなケースがスタンダードな世の中なのだろう。「あみ子にはみんな、何にも言わない、何にも教えてくれない。」と壊れたトランシーバーを握りしめ、必死に語りかけるあみ子が健気だ。理解されたい、話を聞いて欲しい、でも理解されずにますます行動が極端になってしまう・・・発達障害の有無に関わらず誰にでも起こりうる事。現実が痛い物語だった。

2012/05/23

青乃108号

「こちらあみ子」大変読みやすい、しかし優れた文学作品であり、あくまでピュアなあみ子を描く作品世界は大変心地良い。竹馬に乗ってのろのろ遊びに来る小学生のさきちゃんを待つ間、物語は過去に遡る。印象的な場面が数多く極めて映像的に描かれる。良い。とても良い。物語の終わり、さきちゃんはまだ竹馬であみ子のところに辿り着かない。「ピクニック」大人だがやはりピュアな七瀬さんに魅せられる、これまた心地良い物語。良い。とても良い。二作品共素晴らしい文学作品である。

2024/01/17

抹茶モナカ

『こちらあみ子』、『ピクニック』の2篇収録。『こちらあみ子』は、発達に障害のあるらしいあみ子が周囲の人を傷つけながら、自らも疎外されてしまう話で、読んでいて妙に共感してしまった。『ピクニック』の主人公の七瀬さんの恋は失恋に終わったのか、不明ながらも、七瀬さんの周囲の人達の七瀬さんに対する思いについて、最後に考えさせられた。柔らかい文章なんだけど、印象に残る違和感。読んでいて、自分は社会から疎外されているかもな、と、妙に深く感じた。

2017/04/03

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