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名前も呼べない (単行本)

名前も呼べない (単行本)

名前も呼べない (単行本)

作家
伊藤朱里
出版社
筑摩書房
発売日
2015-11-25
ISBN
9784480804617
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名前も呼べない (単行本) / 感想・レビュー

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おいしゃん

【太宰治賞作品】トラウマにより同性愛に走る女性、その親友で派手な言動を繰り返す、男装する女性など、個性際立つ表題作。もう一編も、母に逃げられ、旦那にも逃げられた教師が主人公で、こんな暗い本だったのかと唖然としたが、最後の生徒と向き合うシーンは良かった。短いながら、書き下ろしの後者の作品が印象に残った。

2016/04/19

えりこんぐ

表題作と『お気に召すまま』の2編。どちらも心に傷を持った主人公。特に『名前も呼べない』は中心をふんわりぼかした様な語りで進むので、どこからザクッともってかれるのか手探りで読んだ。違和感はあったけど気づかなかったなぁ。悲しみ方を忘れてしまった様な主人公が終始痛々しかった。嫌いな作風ではないので、もう少し追いかけたい作家さん。

2019/03/20

そうたそ

★★★★☆ この作家さん自身はたまに「真夜中のニャーゴ」で見かけていたのだが、作品自体は初読み。決して読んでいて気分の良くなるストーリーではないのだが、不思議と引き込まれていく。太宰治賞受賞作である表題作は、まず作中の仕掛けに唸らされることになるのだが、それ以上に陰鬱として主人公の女性の心理が描きこまれた文章がとにかく印象的。そして作品の裏の主役ともいえるメリッサの存在もまた強烈。人間関係の負のスパイラルに陥った時、失いたくないと思っていても知らぬ間に自ずと失う方向へ導いてしまうというのは少し分かるかも。

2016/05/12

しーちゃん

不倫相手に子供が産まれる。最後にその一文の意味するところがわかる。最初に感じた嫌悪感が、ますます濃くなってしまった。親から逃げ、職場からは男を誘惑したと噂され、行き場の失った主人公の陰鬱な性格が好きになれず苦労したが、その背景を知れば同情に値する。でもちょっと待って。それを言い訳に可哀想な子とレッテルを張っているのは自分自身ではないか。ヒステリックな完結は興醒め。「お前って精神病なの?」と聞く夫。二つの物語の登場人物に魅力を感じず、虐待、ネグレクト、LGBTQとテーマは秀でているのに勿体ない。

2023/08/24

モルク

太宰治賞受賞作。恋人に娘が生まれたことを元の職場の女子会で初めて知る。単なる不倫ものと思いきや、複雑で斬新な内容。何回か行きつ戻りつしなければなかなか把握しきれなかった。理解してみると、確かに「名前も呼べない」というのがわかる。なるほどね。今年最後の読書としては重苦しかった。でも中に登場する友人メリッサは魅力がたっぷり。

2016/12/31

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