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遠くの街に犬の吠える (単行本)

遠くの街に犬の吠える (単行本)

遠くの街に犬の吠える (単行本)

作家
吉田篤弘
出版社
筑摩書房
発売日
2017-05-23
ISBN
9784480804716
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遠くの街に犬の吠える (単行本) / 感想・レビュー

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ちょろこ

せつなさにのみこまれそうになった、一冊。まずページを開き、行き先さえもわからずに文字を追い始める。吉田さんが描く世界、紡ぐ言葉に何も考えず、ただひたすらたゆたい、心地良さを感じていたら…。この物語の終着駅とも言える場所で、一気にせつなさにのみこまれそうになった。二人の、まるで二人だけのためにしか当てはまらない“偶然”という言葉がたまらなく心に襲いかかる。この封印された言葉の音を永遠に聴けるのは そう、きっと あなただけ…なんですよね。涙ひとすじ。あぁ、こういう物語、せつなくて最高に好きだ。

2020/07/31

tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。

☆5.0 彼方から聴こえる音は忘れられた言葉を写しだす鏡。偶然が紡ぎ出す必然の恋物語。

2021/03/06

風眠

かつてそこに存在した音。それは言葉にできなかった声、胸に置いたままの想い。そういう音の残滓を「遠吠え」と呼び、採集する青年。心の中にある本当の気持ちを、言葉ではなくバッテンに封じ込める老先生。人の心は複雑で、どの言葉にも当てはまらない想いが多すぎる。書き出しを読みページをめくる。見開きのモノクロ写真、そして各章のタイトルが現れる。まるで映画のような演出。相手を欺く事でしか、本当の想いを綴れなかった老先生と、代書屋の夏子さんの恋。愛を封印した最後のバッテンは、最高にロマンチックで、キザで、××で、××で、、

2019/02/03

アン

過去の音を探し、遠吠えをあつめる音響技術者の冴島君。辞書から省かれた言葉や事柄を「バッテン語」と呼び収集する白井先生。小説家の吉田さんは編集者から朗読作品を提案され、冴島君と代書屋の夏子さんに出会うことに。言葉に置き換えられない胸の内の大切な想い。閉じ込められた声は伝えたい人へ届くのでしょうか…。遠くから聞こえてくる哀切な声。モノクロの写真が印象的な千通の手紙を巡るちょっぴりミステリアスで切ない恋物語。<天狗の詫び状>でのバッテンにこめられた優しく深い想いには胸がいっぱいに。「ここにある」真の想い。

2020/08/14

kana

はぁぁいいぃぃと何度もため息の漏れる幸せな読み心地。純文学のそれというよりは、冬のお布団の離れがたい暖かさとか偶然見上げた夕焼けの空の素晴らしさとか、著者の本は日常の愛おしいものを美しい言葉と装丁で真空パックしたみたいな魅力がある。声ならぬ音に耳を傾ける冴島さんと辞書から抜け落ちた言葉を収集する白井先生と小説家の主人公と編集の茜さんとその友達の代筆屋の夏子さんと。一緒に言葉を巡るささやかな大人の冒険を楽しみながら、私自身も言葉にできず伝えられなかった、粉々の破片のような気持ちを思い出して胸がぎゅっとなる。

2018/12/15

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