変半身(かわりみ) (単行本)
変半身(かわりみ) (単行本) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
寓話小説だが、その寓意が透けて見えすぎる。舞台作家の松井周とのコラボレーションであるらしいが、演劇としても深みに欠ける気がするが、まして小説では重層性を失うように思われる。構成もまた十分に考えられたようには見えない。物語の核となる「ポーポー」もまた小川洋子の「ことり」のパロディでもないのだろうが、思いつきの域を出ない。小川作品にあった寂寥感はここにはない。表題にとられたメタモルフォースもまたしかりである。酷評のようになってしまったが、村田沙耶香は好きな作家のひとりであり、今回も期待を込めて読んだ。
2021/01/15
ろくせい@やまもとかねよし
「変半身」と短編「満潮」が収録。タイトル編は、劇作家の松井周さんと村田さんとが設定を共有するコラボからの村田小説。両編とも、人間の子孫繁栄と性行為の社会性が主題と感じた。「変半身」は、子孫繁栄に絡めた慣習を題材に、人間社会で真実とされることが如何に虚無的なことであるかを表現する。「満潮」は、男女間で区切られる性的な行為やその行為で得られる感覚の違いを、男女逆転の発想から、社会で通念化する性を飄々と疑問視する。いずれも村田さんらしい極端な非日常表現で、人間の利己を生物的性や子孫繁栄すら軽々と超えさせていく。
2019/12/02
absinthe
沙耶香様らしい作品。舞台劇と同時制作だという表題作。前半サスペンス調、あれ?こういう本も描くのかな?と思っていると後半はもう沙耶香様の本領発揮。思えば我々人間は、テレビでもSNSでもネットでも狭い窓を通して世界を見ている。その窓にはいつだって演出意図があり、ありのままの真実なんて映すことはない。何重にも張り巡らされた虚構と虚構。Pグリーナウェイ『ベイビーオブマコン』をちらと思いだす。虚構の世界が突飛に見えず、なんだか生まれたときからそこにあったというほど自然に感じてしまうのがさすが。
2020/02/29
starbro
村田 沙耶香は、新作中心に読んでいる作家です。 長編かと思いきや、中編+短編でした。表題作は、演劇界の鬼才・松井周と核融合しているせいか、輪をかけて個性的な作品に仕上がっています。短編の『満潮』は、女性の夢●×男性の●吹きの話だとは、全く想像もつきませんでした。 https://www.chikumashobo.co.jp/special/kawarimi/ http://samplenet.info/inseparable/ 【読メエロ部】
2019/12/12
kou
読み始めて、すぐに頭を鈍器でガツンと叩かれたような衝撃があった。・・・ホントに凄い発想力だと思う。気分が悪くなりそうなシーンもあったが、それがちょっとクセになりそうになっている自分がいて、少し驚いている。他の作品も読んでみたい!!
2020/02/20
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