未知の鳥類がやってくるまで (単行本)
未知の鳥類がやってくるまで (単行本) / 感想・レビュー
サンタマリア
絲山賞を受賞した幻想的な短編集。平衡感覚を失ったようなそうでないような不思議な読後感を味わった。「行列」「お前知ってるか、東京の紀伊國屋を大きい順に結ぶと北斗七星になるって」「未知の鳥類がやってくるまで」が好き。この本の置き場所にふさわしいのは駅の屋根の上。
2021/06/20
kei302
2020年度絲山賞受賞作品。といっても、授賞式があるわけでもないし、出版社や本人に連絡が入るわけでもない。けど、毎回、注目しています。 読んでみた。ちょっと長い目のとかなり短いのと色々。SFっぽいもの、やたらリアルで、自分の身に起きた出来事のように感じるものなど。 自由です。そして、不思議です。ええええぇぇぇ!? と二度読みした『一生に二度』と、鳥、出てこないけど・・見落としたかな? 表題作が面白かった。
2021/01/28
ワッピー
「ヘディングはおもに頭で」に比べると、視座も描写もダイナミックなSF系短編集。【創造】力の宝箱を惜しみなくぶちまけた世界に読む者は幻惑される。大空に展開する不思議な現象を眺める者「行列」、大震災後の東京「おまえ知っているか、東京の紀伊國屋を大きい順に結ぶと北斗七星になるって」、同級生が肌身離さず持ち歩くもの「箱」、編集者の恐怖の週末「未知の鳥類がやってくるまで」、テロ予告メール「東京の鈴木」、ポエムバトル「ことわざ戦争」、意識の旅「廃園の昼餐」、さえない友の思い出「スターマン」、人体の扉「開閉式」、⇒
2021/01/13
小太郎
SFのアンソロジーなどでたまに見かける作家さんですが、まとめて読むのは今回がはじめてです。岸本佐知子さんの帯の文句にも惹かれました「何でできているのかわからない、でも異様においしい謎のアメを、口の中で転がしながら、ずっとずっと溶けないでうてくれればいいのにと願う、そんな本」10篇の短編どれもが読んでいて不思議な気持ちになります。例えるとなんとなく自分の立っている場所が不安定になるような感じかな。表題作「未知の鳥類がやってくるまで」がお気に入りです。
2022/10/17
くさてる
アンソロジストとしての著者のお仕事は拝読してきましたが、創作作品を読むのは初めて。幻想とSFの境目をゆらゆらするような美しい言葉で織られた布が広がるさまを見ているような読書体験でした。表題作は、読んでいて、描かれる光景の幻想味をゆっくり味わいたい思いと主人公の先を追わずにいられない焦りで落ち着かない気持ちになりました。いちばん好きなのは「一生に二度」こういう、奇妙で味わい深く、静かで美しい、ここでないと読めない話に惹かれます。良かったです。
2021/02/06
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