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優しい去勢のために

優しい去勢のために

優しい去勢のために

作家
松浦理英子
出版社
筑摩書房
発売日
1994-09-01
ISBN
9784480813480
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優しい去勢のために / 感想・レビュー

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松本直哉

美しい題名の本である。同じタイトルの、まるで散文詩のようなエッセイだけがちがう色の紙の印刷されていて、著者の思い入れがうかがわれる。否定されているのは生殖だの快楽だのといった目的をもつ性愛である。裸で抱き合ってもなお満たされないのならばまだ脱ぎ足りないのだ、脱ぎ捨てよ、性器さえも、と著者はいう。去勢が意味するのはそういうことだ。何も象徴せず表現しないただの<もの>として性器を愛でること、たくらみも期待もなく、偶然に、自然に、ただ体と体を結び合わせること。

2021/01/09

あ げ こ

大変に癒される。松浦理英子の姿勢、言葉、その生真面目さ、真摯さ、松浦理英子の求むるもの、目指す所、領域、その達し方、方法、すべてに癒される。性器結合的性愛観及び男根中心主義的なものではない、物の見方、見え方、感じ方。大変心地よい。松浦理英子の鋭さ、鋭敏さ、敏感さによって、自分は落ち着きを取り戻す事が出来る。松浦理英子が見せてくれる愉悦の、その自在さによって、自分は救われる。性器結合中心的性愛観を突き崩そうとするその情熱の好ましさよ。松浦理英子が求むるものの、目指す先のその、豊かである事。好ましさしかない。

2019/07/10

あ げ こ

本人が言う所の〈性器結合中心的性愛観を突き崩そうという情熱〉がやはり何よりの魅力。それは官能、快楽と言った方面への鋭敏さや貪欲さより生まれたものであるように思う。官能に対し、快楽に対し、鋭敏であり、貪欲であるが故に、松浦理英子は超えて行く。性器結合と言う性愛の形を。より強く、より深遠な快楽の在り処を求め。性器結合では辿り着けぬ領域を目指し、松浦理英子は超えて行く。官能に対し、快楽に対し、探求者の如く真摯であるが故に。逃げる事なく、避ける事なく、模索し続ける。時に冷や冷やしてしまう程、どこまでも生真面目に。

2017/04/30

再読。著者最新作「最愛の子ども」の空穂は、〈存在論的官能性〉を持ち、性器によって決められる性別とは全く無縁に人を魅了する「セックス・ギャング・チャイルド」なのだと思いました。

2017/02/02

Akiro OUED

SMプレイの最中、MはSに対して優越感を抱いている。その逆、SはMに劣等感を持つ、もあるのかな。だとすれば、日韓関係もSMの一種かもね。日本に対していきり立つほどに、哀れさも際立つ。性的な自由奔放が、不自由に快楽を見出すのがプラトニック・ラヴの真価だという論考が面白い。好著。

2023/02/10

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