文章読本さん江
文章読本さん江 / 感想・レビュー
harass
初めて読んだ評論家の本。文章読本をいくつか読んだことある人ならあるあると呟いてしまう。著名、無名な文章の書き方本にツッコミを入れまくりで悪口芸に笑ってしまうし、ああそのとおりだわと感じ入るところもあった。跋扈する文章読本がなぜこんなに出版されたかを、作文教育の歴史をひもといて原因を論じていく。笑いと知的好奇心をくすぐりまくる楽しい読み物だった。引用例で、カーツ佐藤の名前を見るとは思わなかった。 *この本は第一回小林秀雄賞をとったのだそうだ。ああ、何らかの賞もらわないとおかしいわこの本。
2012/06/30
Gotoran
冴え渡る斎藤美奈子女史の毒舌評論、抱腹絶倒すること間違いなし。世に出ている「文章読本」なる書物の数々を独特の茶目っ気とユーモアで縦横無尽に斬捨ててゆく筆致は、まさに女剣士いや文芸評論界の芸人そのもの。そういう中にも、明治以降の文章史・作文教育史を、豊富な資料に基づき分析された考察・評論は、流石、小林秀雄賞受賞作品だと読み手を唸らせる。読友感想が切っ掛けではあったが、 米原万理女史著書で本著者を絶賛していたこともあり、今回読んでみた。“痛快丸かじり”状態を再度体験するために、他著書にも当たってみたい。
2012/01/08
angelooo7
斉藤さんは通解。目をつけられた作者は痛悔。読んでる私は痛快。
2015/01/28
ミツ
第一回小林秀雄賞受賞作。 世に溢れる文章読本たちを上から見下ろし、揶喩と嘲笑を軽妙な語り口で容赦なく浴びせかけ、それを通して文章の役割や良し悪しの基準を明らかにしてゆく。 まず目次からして「書く人の論理」「正論の迷宮」「様々なる衣装」など有名な評論のパロディになっているし、取り上げた文章読本の主張する説を実際にその批評で実践して見せている。 途中で少しだれるが最後の「文は服なり」という主張には思わず納得した。 ユーモラスで笑える稀有な批評書。
2009/04/25
KAZOO
文章読本という分野に特定した、書評を集めたものです。評価された本の中にはは私が読んだ本もあり、大物の小説家もかなり辛口で批評されています。私も大家の文章読本を読んで、あまり批判もせずにいましたがこの本を読んで目からうろこが落ちる思いでした。ただこのような本を読んでも文章に関するノウハウ的な本をいつも購入してしまいます。日本人は本当にこの分野の本が好きなのでしょう。アメリカなどでは大学に文章をいかに書くかなどの授業があるということも聞いています。
2013/06/02
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