それにつけても今朝の骨肉
それにつけても今朝の骨肉 / 感想・レビュー
愛 飢男
今も現存しているベースボールマガジン社の創始者である池田恒雄の長女として生まれた筆者が書いた池田家の愛憎を描いた作品。他人の家のゴタゴタ劇は他人だから面白いのだろうが自分が身内だったら居た堪れないだろう。今の時代であればハラスメントとバッシングされるであろう自分の家庭内の痴話話を恥じらいもなく小説でオープンにした勇気は凄い。それだけレアな家庭環境だった訳で父親への冷淡さも頷ける。筆者自身結婚離婚の繰り返しをしたのも幼年期の愛情の不十分さが原因かと変に模索してしまう。星4.5
2016/11/28
アコ
小泉今日子書評集より。家族史のようなエッセイ。工藤さんの顔と名前は知っていたけども、大変裕福ながら複雑な家庭環境に育ったことは初めて知った。異母兄弟多数だったり愛人と対面したり。別々に暮らす父から、優秀な兄姉とは異なり不出来で愛されず疎まれて育ったこと、また著者も父を避けていたこと。それらがドロドロ愛憎ではなく、淡々と綴られるので引き込まれる。「おまえは好きなことを書け。俺が世間の風は受け止める」は愛する娘への最高のエール。過酷なチェコ留学や3回の結婚など、工藤さん自身の人生も興味深い。
2017/05/08
*asami*
ノンフィクション作家の著者が、「ベースボール・マガジン」創設者である父親を中心とした家族について書いた本著。複雑な家庭環境、昭和の時代を生き抜いた生命力みなぎる人達、そしてまるで暴露本のような内容がさらりと綴られている。“しょうもない親父”“愛されずに育った”と言っているのに、文章からは父親への尊敬と感謝をひしひしと感じた。
2016/02/12
barabara
すっかりミヨラーになってしまった。今回は工藤さんの父関係のあれやこれや。それにしてもこの年代で兄弟全員留学しまくりって…と謎だったが、一代で築き上げたお父様の力によるもので、ましてや不出来だった著者までプラハ、チェコなどに行くことになったのか今回分かってスッキリ。要は放蕩させたわけね。容姿の悪い著者には最後まで愛情をくれなかった父、兄も決して不美人な自分とは歩かなかったとあるが、後年鬱で苦しむのに多少の影響はあったのだろうか。財を成し、あちこちに愛人に子を産ませた父への複雑な愛憎が見え隠れする。
2015/06/05
tomatobook
小泉今日子書評集で知り、読了。波乱万丈の工藤美代子の半生。タイトルにある〝骨肉〟がぴったりだな、面白かった。まるで映画のような。プラハからの脱出はスリリングだし、繰り返す結婚離婚にもびっくり。
2019/02/10
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