ねにもつタイプ
ねにもつタイプ / 感想・レビュー
どんぐり
小さなことが気になる妄想気質と強迫気味の岸本さんのエッセイ。15年前に書かれた本とはいえ、キシモトワールドは、いささかも古さを感じさせない。翻訳の仕事をしながら、「死ぬまでずっと一種類の表情で過ごさなければならなくなったら、どの顔を選ぶか」と考えてみたり、時代劇で「ちょんまげ」のかつらをかぶっている人を見て、彼らは悪い宇宙人にだまされて恥ずかしい髪形をさせられているのだ、と真剣に考えている。そして、子どもの頃に見た「あしたのジョー」の口から出てくるソラマメ形の血にまみれた白いものを、ずっと腎臓だと思って→
2021/11/10
めろんラブ
待ってくださーい、キシモトさぁーん。あぁ、類稀なる妄想力でまた虚空の彼方へ飛び去ってしまわれた・・・。端正にして精緻、流れるような美文に乗せられて迷い込んだのは超絶思考異次元ワールド。きっと岸本さんの頭の中には泉があって、面白妄想がこんこんと湧き出しているのでしょうね。凡人が気にも留めない小さな引っ掛かり。その違和感の正体について熟考し、美しい言葉で表現する。達人技に出合えて大満足!緻密でおしゃれな挿画も素敵。
2010/03/02
積読亭くま吉(●´(エ)`●)
★4・朝から何もする気がなくダラケてたら…(;・д・)午後から、お客さんとこ行く約束が有るのを思い出した。不思議なもので、思い出した途端に読みかけの本書が気になって気になって…。うん、そう、そういう本なのである。意味が有るようでそうでもなく、真面目な日常エッセイかと思えば、全くかけ離れてて。途中、何度も「ぐふっ」「ぬっ」「うっほ」気持ち悪い愉悦の声が喉の奥から心地好く湧いて。お楽しみ袋を取り上げられた子供みたいに、退屈してた私の心が、ゆっくりと温んでいく…きき湯とかめぐリズムとかそんな感じのホッコラ書
2015/10/05
tetsubun1000mg
「ひみつのしつもん」を読んで気に入って選んだのだが、2007年の作品で日本エッセイ大賞受賞作。 「ひみつの...」の原点が見られるかと思ったのだがこっちのほうがぶっ飛んでる。 特に気に入ったのが「マシン」ずいぶん昔のミシンのこと。 金属の足にペダルが付いて天板は普段は平板なテーブルになっており、使うときは天板のふたを開けて本体を下から回転させ持ち上げて使う。 岸本さんにはこの時「サンダーバード」のテーマが聞こえるらしい。 しかもペダルを踏むとミシンと一緒に空を飛ぶって。 翻訳の合間にこんなことを考えてる?
2024/07/20
紫 綺
この本の感想を一言で述べるならば、「変っっっっっ!!」となる。それも怖い物見たさ的な、「眉間にシワは寄せるが、嫌いじゃない。」とニヤッとしてしまうエッセイ、というか作者が書きたい放題に書いた本という印象である。んんんっ、コメントが難しい。私もこの作者とほぼ同年だが、ここまでの頭の柔軟さはない。ちょっぴり憧れる。
2010/09/30
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