私の東京地図
私の東京地図 / 感想・レビュー
たくのみ
戦前、戦後の東京を生きてきた小林信彦さん。とくに戦災で焼け、アングラとサイケの町・新宿に詳しい。昔の話もいいのだが、面白いのは「アド街ック天国」を見た感想。 「司会者がずっと寝ていた」「東日本橋ではなく『西両国』ということがわかっていない」 と散々。住んでいた町への思いはつよく、いまも「東日本橋」と言われただけで、腹が立つらしい。近くにいたら怖い、頑固なおじいさん。その口で語られる、古き「悪き」雑然とした東京が広がる。
2014/07/03
しんこい
東京人に故郷はないとか言うけどそんな事はないですね。それにしても20年たらずの間に店だけでなく建物も変わり50年だと道も川も変わりと変化は激しいですね。深川の不気味さとか品川は狐が出るとか。
2013/02/03
tsukamg
東京のことをあまり知らないという前置きで始まるエッセイ。東京で生まれ育ってきた人の見識でもって、この街は昔何があって、いつごろこうなり、その頃自分は何をしていた、というふうに書かれた本。ただの「何」ではなく、小林信彦のしていた「何」というのが、付加価値になっている。街が変わったことについてはそれほど感傷的になってはおらず、役人によって生まれ育った両国が東日本橋という名に変えられたことだけを怒っている。
2018/07/28
角
小林信彦の東京話。妙に細かく記してあったり、ちょっと言及してあっさり話を変えたりと、話題による対応の違いに著者の興味のありようが如実に表れ、ついにやにやしてしまう。新宿の箇所でさんざん食べ物の話をしておきながら、その後食べ物の話は書いてはいけないと思っているなどと書いたり。最後の品川の章や「東京はまだ“普請中”」の章だけ、ガイド調の書き方(品川エキュートに入っている店を列挙したりとか)でやや違和感。東京駅にはじまり東京駅に終わる、という構成にしたかったんだろうけれども。
2013/02/14
kokada_jnet
今までの東京本のリフレインって感じだけれど。新宿の章で西新宿のホテル街でのグルメ話が出てきたのが目新しかった。と思ったら、後の章で「食べ物の話を、谷崎以外の作家が書いてはいけない、と思っている」と、相変わらずの調子。
2013/02/05
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