ひみつのしつもん (単行本)
ひみつのしつもん (単行本) / 感想・レビュー
青乃108号
ちくま書房のPR月刊雑誌、「ちくま」に連載されたエッセイを集めたもの。3ページのエッセイ+イラスト1ページで1エピソード構成と、かなり短い。しかしながら本文によるとかなりの出不精であるらしい著者。ネタの内容は過去の思い出や今、目の前にあるものから妄想を膨らましたエピソードに限られており、月刊誌というからには締め切りと言うものを守らねばならず、なんとかページを、文字数を稼ぐのに四苦八苦している様子が文章から滲み出している。読んでいて苦しい。辛い。面白くない訳ではないが、一気読みには向かない本だったと思われ。
2024/06/29
R
不思議な短編小説集でした。小説というか、小話のような、一瞬エッセーと間違えてしまいそうな不思議話。とっかかりは、そういうことあるなぁという些細な出来事を取り上げつつ、掘り下げていくと、ホラーになったり、エレジーになったり、サスペンスになったりと振り回される。ありそうな話が、ちょっとSFみたいに発展していくのが楽しいのだけども、考えオチを突き詰めたかのような、笑いと怖さが同居する文章を楽しめました。
2020/01/27
kei-zu
職場の女性にショーン・タンを紹介したら好評だったので、ならばとショーン・タンの翻訳も多い本書の著者を紹介しました。最新のエッセイ集を貸そうと、渡す前に目を通したら止まらず一気読み。 ドライ?日常のトホホ系?幻想的?本書のオビには「奇想天外、抱腹絶倒のキシモトワールド」とあるが、その形容もいささか居心地がよくない。常識が足下から崩れるような浮遊感。 ああ、叶わないがこんな文章が書きたい。
2020/11/19
tetsubun1000mg
初読みの作家さんで、翻訳家でありながら「ちくま」連載の「ねにもつタイプ」でエッセイストとしても多くの本をだしている。 「ねにもつタイプ」でエッセイスト賞も受賞したとの事で選んでみるが、じわりじわりと面白くなってきてそのうちクスクスと笑ってしまう。 あることからほかのことを想像していくうちに、妄想が拡がってしまいどこに行っているのか分からなってしまうパターン。 「そんなわけないだろ!」と突っ込みたくなるほど妄想が爆発するのだが、大爆笑というよりシニカル方面の感じ。 三浦しをんさんとは違ったパターンで面白い。
2024/06/29
tsu55
翻訳家岸本佐知子のエッセイ集。 ふわふわとさまよう思考、不思議な浮遊感は少し内田百閒に似てるような気もするけれど、百鬼園先生ほど読者を突き放した感じはしないし、不気味でもない。 この著者のエッセイ集はこれを含めて3冊読んだが、どれも面白い。ハズレがない。鉄板という感じですね。
2020/02/02
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