パンツの面目ふんどしの沽券
パンツの面目ふんどしの沽券 / 感想・レビュー
はる
父の越中褌がフンドシ一丁であったか三島由紀夫のフンドシであったか分からないが、グローバル・スタンダードに押しつぶされそうなナショナル・アイデンティティーを応援してやろうという気楽な気持で始まった月刊ちくま連載が褌とパンツをめぐるグローバルな民俗学的エッセンスの一冊に昇格。癌に患い人生のカウントダウンに自分到達度し得たものを世に出し、褌担ぎとなり世の面白さを掘り起こし露払いとならんと130冊以上の資料を渉猟する渾身の一冊。→
2024/08/17
更夜
米原万理さんは本職はロシア語通訳でチェコのソビエト学校出身。家庭科の裁縫で最初に出てきたのは「パンツの作り方」だったという話から、シベリア抑留の手記から、羞恥心の文化論、服飾の歴史など膨大な資料をもとにあまり語られることがないけれど、誰もが関わる重要な問題を論じています。決して遊び半分ではなくむしろその奥の深さに手を出してしまったことを後悔したくらい下着の歴史文化の世界は深いし、その国の文化の発端となっていることも多くあります。褌になって祭りをする、という日本人の今でも続く文化、そうかと思う精神論。
2021/05/01
じじちょん
ソ連時代の下着やトイレ文化に驚かされた一冊だった。 家庭科の授業で真っ先にパンツを作る話や、フリフリレースのパンツは下着というよりファッションであった…という話など興味深かった。
2017/10/04
mikki
ぱんつの事なんて考えたこともなかったが、時代により、またお国柄によって色々で、そうなんだ。。。と納得しながら読み進めた。途中でついあとがきを読んでしまい、著者がご自分の命のカウントダウンを意識しながら書きすすめた本であることを知る。すごい人だな…。後半読むのに息切れしてしまったので、また再読したい本のひとつだ。
2014/06/29
あきくま
千原せいじさんがテレビで「日本人の尻は甘やかされている」というような事を仰っていた。世界各国を巡る方の言葉の重みを感じる。柔らかい紙で尻を拭く。それが世界規模で見れば常識では無いことを私は知らなかったのだ。肌で直に感じる文化の違いはより一層世界の広さを認識させる。ソビエトの学校では、お裁縫の授業でパンツを必ず縫っていた。結婚したら持参金のように下着一式を持ち、一生使ったという。共産主義下でのパンツ風景に驚く。下着という肌に密着したものから、歴史や文化の違いや変遷が面白く読めた。
2012/03/02
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