再読だけが創造的な読書術である (単行本)
再読だけが創造的な読書術である (単行本) / 感想・レビュー
アキ
前著「積読こそが完全な読書術である」とは、ひとは本を完全に読むことができないということを、書物の側に視点を置いて考えてみた結論であった。本書は、読書を読者のネットワークに組み込むことという観点から、初読と再読の間の読者の過ごした時間のズレを眺めることを可能にするとしている。再読によってフラットな思考からメタ認知を行うことを薦めている。情報の濁流に翻弄される現代において、古典を読む体験はゆったりと流れる川を眺めるようなもの。古典もまたさまざまに読まれてきたものを読者が読むという、再読の現象となるのである。
2023/04/29
tamami
著者は、セネカやショーペンハウアーを始めとする幾多の先達の読書に関わる金言を示しては、情報の濁流に流されないための自分を深める読書術=再読について提案する。著者はその際意識したいのは「フラットに読む」ことだという。日々の生活の中で「強さ=激しさ」に駆り立てられ、極私的な読書体験でさえ他に公開することを余儀なくされている私達に、フラットな読書=再読は、自身の読書ネットワークを整備することに繋がり、新たな創造を産み出すと説く。古典的名作の新たな読みの可能性を示すなど、読書の幅を広げてくれること請け合いである。
2023/03/26
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
<抜粋メモ> 絵画鑑賞と読書の比較による、タイムラグとノイズの発生可能性/書物の側にとっての「再読(再び読まれる)」を意識する <読みながら考えていたこと> ・昔空想したことのある「書物のインストールチップ」の無意味さ ・内面世界を陶冶涵養し得るアイコンとしての「読書好き」「映画好き」 ・塩谷舞さんに教えられた「書評家→作家」の一方通行性 ・「リアクションやフィードバックがないもの=存在しないもの」と捉え、「リアクションを求めて書評を書く」営みとしての読書会主催
2023/08/26
vy na
図書館本。同じ本を理解するには7回読む必要があるとどこかで。確かに再読すると同じ箇所ではなく、初読とは違う箇所で引っかかったり、同じ分でも新たな視点に気づいたりします。本書で、書いてあることはよく理解できませんでしたが、面白いと思った本は必ず再読しようと思えるきっかけをくれたと思います。
2023/07/11
江口 浩平@教育委員会
【読書術】読書のすすめの清水店長が薦めていたため、手に取った一冊。『「何かのために」本を読む時、読書をする時間はギャンブルの掛け金のように、あるいは投資のように、開かれたページのうえに投げ出されます。』という一文は、最近読んだ「ファスト教養」の本や、コスパ・タイパ重視の風潮と繋がるように感じた。ここへの書き込みも含めて、読書とは対外的に何かをアピールするために行う行為ではないということ。駆り立てられるように読書をするのではなく、ただ自分の興味関心の赴くままに読み広げていき、機会を見つけて再読する習慣を。
2023/03/28
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