近代ヤクザ肯定論: 山口組の90年
近代ヤクザ肯定論: 山口組の90年 / 感想・レビュー
カザリ
面白かった。「孤狼の血」を読んで、なぜヤクザはなくならないのか、主人公の刑事がなぜヤクザを警察の対抗馬として存続させようとしていたのか知りたくて、この本を読んだ。結論は、この本で語られていることは、いくつかのテーマがあるのだけれど、最も重要なことは社会のセーフティネットとしてあったヤクザを追い詰める資本と権力を一元化した国家は腐敗と格差をますます加速させるということ。そして、格差の進んだ社会では、今後新たな相互扶助システムが希求されるということ。三代目の魂を日本人はもっと学ぶべきなんだなあ。
2018/03/04
ぐうぐう
近代ヤクザの誕生とその終焉を、社会学的観点から分析する宮崎学の『近代ヤクザ肯定論』。タイトルに付けられている「肯定」という言葉は、危うい印象を与えるが、宮崎の意図するところは、そうではない。日本社会が円滑に運営されるために必要な社会的装置として生まれた近代ヤクザ、つまり社会が必要としたという意味での「肯定」なのだ。マイノリティの不満の受け皿としての、差別なき共同体としての哀愁が、近代ヤクザにはあったと説く。(つづく)
2011/08/31
ちあき
沖仲仕の組としてうまれた山口組の歴史をたどり、その実像を検証した本。「共同社会型・部分社会型ヤクザから利益社会型・全体社会型ヤクザへの変質」という分析の視角が示唆に富む。例証も的確で、企業や労働組織を研究対象としている人なら第六章、差別の問題に関心がある人なら第七章は必読だと思う。司法を志す若者やただの現代史好きも読んで損なし。最終章の風呂敷の広げ方に対する評価は保留とせざるをえないが、変質をかさねたヤクザ組織が若者のドロップアウト集団にシノギをアウトソーシングしているという指摘は重く受けとめたい。
2009/09/14
takao
ふむ
2024/11/08
chu-ken
まつろわぬもの、アウトサイダー
2008/05/19
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