偽史冒険世界: カルト本の百年
偽史冒険世界: カルト本の百年 / 感想・レビュー
棕櫚木庵
歴史についての“トンデモ説”を紹介し,それを提唱し,信じる個人的・心理的理由,さらに,それが果たした政治的役割を指摘した本.たとえば,ジンギスカン義経説は日本の大陸進出を正当化した,など.章立ては,ジンギスカン義経説,日本人南方起源説,日本人起源説あれこれ,日本ユダヤ同祖説,神代文字,竹内文書.ただ,各章とも,いろいろな話が出てきて,各章の主題が何なのか分かりにくくなっている.もう少し話題を整理して欲しかった.特に,竹内文書の章などは,天津教・大本教・政治の話が絡み合ってよく分からなかった.
2020/02/28
shamrock
日本の近代以降の「伝説」の謎解き本というところか。義経ジンギスカン説から日ユ同祖論から、その根本にあるものはほぼ同じ、「西洋に遅れをとる日本、ひいては日本人を偉大なものとするための願望」が生み出したということか。「と学会」本ではおなじみのネタ満載だが、楽しめた。
2014/10/23
筑紫の國造
日本近代史に現れた様々な「偽史」の姿を紹介し、偽史の担い手たちの心情や偽史が作り出された背景に迫る良作。一見、単なる好事家的書籍だが、「あとがき」を読むと現代との無視できない関連性が指摘されている。もちろん、ただ楽しむだけにしても面白いが、著者のいうように「トンデモ偽史」の作成背景やその影響、現代とも関連する問題点を意識しながら読むと面白いだろう。偽史、陰謀論は現在も表層を変えながら相変わらず世に蔓延り、インターネットの力を借りて益々勢いを増している。決して、「過去の変わった人々」だけの問題ではない。
2023/10/23
take0
1996年刊。義経ジンギスカン説、日ユ同祖説、神代文字、竹内文書といった偽史偽書の類が、近代日本において一定の人気を博し、また人々を魅了したか、その経緯や背景について探っている。本書中に語られる「成吉思汗ハ源義経也」の作者・小谷部全一郎の明治期にまさに身一つで立身出世を体現するかのような人生だとか、日ユ同祖説の章だとか実に面白いし、紹介される「竹内文書」の超古代史とか、その作者と目される竹内巨麿の自伝的生い立ちのトンデモぶりには失笑してしまう。
2018/11/20
ともゑ
明治時代頃に流行ったトンデモ史観について。神代文字や竹内文書はなんとなく聞いた事はあったもののよくよく読むとツッコミ所多過ぎw戦前の少年向けSFについての話題から展開する2章は興味深い。日本の古典SFに造詣が深い著者だからか資料も豊富で読みごたえもあった気がする。以前青空文庫で読んでなかなか面白く印象に残ってた作品がまさにそこで紹介されていた特徴のものだったのを思い出す。そんな著者の本業は歯科医だという。意外。
2014/07/13
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