夏目漱石を読む
夏目漱石を読む / 感想・レビュー
佐島楓
漱石の執筆した時代背景や精神状態から見る「人間・漱石」論。漱石は自己の救済のために小説を書いていたのだろうか? だいぶ久しぶりの再読になってしまったがその答えはもう、誰にも出せない。ご冥福をお祈りいたします。
2012/03/17
amanon
漱石の主要作品を一気に俯瞰できるのが良い。著者独自の漱石観には賛否があるだろうが、個人的には興味深く読めた。あの『吾輩は~』にある種の破綻があるという指摘など、普通はなかなかできないのでは?という気にさせられるが、逆に『吾輩』を読んでみたくなる。また、なかなか正面から取り上げられることがないと思われる『門』の解説が個人的に特に興味深く読めた。何となし暗いイメージを持たれがちな『門』だが、実はそれ程暗い作品ではない。そのことを指摘しているのか、この作品にゆとりがあると言及しているのには、大いに共感できた。
2013/04/08
伯
河合隼雄さんの『中年クライシス』から『門』の評論が読みたくなって再読した。『こころ』もそうだけど主人公が「いうことができない」こと、「ここでためらうのは一体なんなんだということ」について「漱石の資質のなかにそれがあるからだ」と吉本さんは指摘する。漱石の思う自己イメージと他者が認める漱石像とのギャップに悩む倫理観を漱石が持ってるからと。この「ためらい」に悩むところにピンときた。仕事でも「言わなかった」ことが後のわだかまりとなってしまうときがあって、なぜ言わなくてもいいと判断したのか悔むときがあったからだ。
2011/05/03
田中はにわ
夏休み実家読書。数回にわたる講演の書き起こしのため、平易で読みやすい。夏目漱石の作品にあらわれる、その作者の性質、特殊な三角関係のモチーフを繰り返したことについて吉本隆明は、「パラノイア」と「同性愛的」の二語で説明している。この二語の内容をもつ夏目漱石の闇に、とても惹かれる。親の書棚から漱石の小説を盗んで帰ることにする。
2018/08/13
NагΑ Насy
渦巻ける漱石のchapter より『それから』の評論だけ再読。『それから』でのは西洋文明を日本人が受容する過程について主人公の代助を高等遊民の中年男として設定することで知識人から社会生活における葛藤 conflict を取り除いた。純粋知識そのものを代助に託した。そのうえで、西岡夫妻と代助の三角関係が西洋文明の受容の過程のmetaphorとなっているのか?
2012/07/29
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