文学の極意は怪談である ―文豪怪談の世界
文学の極意は怪談である ―文豪怪談の世界 / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
文学者がなぜ、西洋文化の台頭で低い立場になった怪談を好んで描き、翻訳したのかを作家毎の作風を基に説いた評論。同性愛の対象にしようとした弟子に死してもなお、追い縋る折口信夫の呪術めいた影、三島由紀夫の割腹自殺とそれに纏わる川端康成の自殺などの実話系怪談やNHKによる怪談の映像化情報も収録されていてふむふむ。東雅夫氏の編集でいつも素敵な怪談、怪奇・幻想小説に出逢えることができました。ありがとうございます。文豪怪談傑作選、必ず、読破します。
2013/03/09
ヒロくま
幽霊屋敷に住んでみたり。真面目に膝を揃えて不思議話しの座談会をしたり。文豪と言われる人たちの、なんと人間臭い事だろう。学校で教わる人物像とは違った一面を垣間見られる東さんの一冊。それはそれはたくさんの作品が紹介されており、今は青空とか無料で読めるものも多くありがたい限りですが、でもやっぱり紙で読みたいと思ってしまう。特に怪談はぺージを手繰る緊張感も楽しみの一つだし。この本欲しい!凄く欲しい。取り敢えず〔怪しき文豪怪談〕のDVD探して見てみようかな。
2016/07/19
かごめ
恐さは時を超えても共有するものかもしれない。それでも夜や陰の濃い時代に、時代だからこそ覗き見る、あるいは想像を巡らせる闇。この夏、何冊か読んでみたいですが、とりあえず毎日報道される現実の怖さのほうも十分怖い。
2021/07/29
HANA
一部ちくま文庫から出ていた「文豪怪談傑作選」後書きと重複するが、こうやってまとめて読んでみると、当時の文壇の階段愛好の雰囲気とか、各人の怪談に対するスタンスとかが明確に読み取れて面白い。鴎外とか太宰治を怪談から読み解くというのは、著者でなければ思いつかないのではないか。どんな文豪でも一度は手を染めてみたいと思わせる、そんなところもまた階段の奥深さなのかな。あと巻末の「顛末記」、こんな番組が放送されているのなら見ておけばよかった。
2012/03/28
紅独歩
「文学の極意は怪談である」という有名な箴言(しんげん)……これが佐藤春夫自身が発したものではなかった!?という、ある意味、衝撃的なオープニング。その春夫と足穂からはじまって吉屋信子と久生十蘭まで、「文豪怪談傑作選」の刊行順とは異なった配列にまた新鮮な切り口を感じる。私としてはちょくちょく顔を出す夷齋先生が気になるのだが……いつか、石川淳と怪談についても語られる日が来るのだろうか。文庫の表紙より大きく収録された金井田氏の版画も見どころ。ハンザキ、ラブリー。(井伏鱒二は登場しません)
2012/03/29
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