KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

甲羅男にカブト虫女

甲羅男にカブト虫女

甲羅男にカブト虫女

作家
エイモス チュツオーラ
Amos Tutuola
鴻巣友季子
出版社
筑摩書房
発売日
1993-03-01
ISBN
9784480831361
amazonで購入する

甲羅男にカブト虫女 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

のっち♬

長編同様ヨルバ族民話に基づいた面妖なイメージが森の中で跳梁跋扈する12の短編集。いずれも裏切りやペテンで話が進んで素朴な教訓で締める。根も歯もない見聞を盲信し、資本と人命を同列に扱い、欲に溺れる人間たち。短編でより際立った思慮のない浮遊した展開の先には、善悪や貧富は結局相入れない事実だけが毅然として残される。中でも『明後日忘るなかれ』『裏切りアデ』は一際虚無感が強い後味。甲羅男の末路は『薬草まじない』を使い回した展開で、こちらの方がコメディタッチ。急いでいる間に嘘を落としてきたという嘘八百のセンスが凄い。

2022/09/29

三柴ゆよし

翻訳に異議あり。訳者曰く、「アフリカのビートで語られる、たまたま英語で書かれた民話」を日本の昔話風に翻訳したとのことだが、これはいただけない。『やし酒飲み』では土屋哲氏が、チュツオーラの破格の英語を、朴訥だがぎこちない翻訳調にすることで、内容とのギャップを際立たせていた。対してこの昔話調では、日本語がこなれすぎていておもしろくない。どうせ昔話調にするなら、いっそ東北方言にでもするべきだった。内容についてはいつものチュツオーラなので特に言うことなし。

2011/01/04

ふくろう

「走っているうちに、嘘を落とした」と、稀代の大ほら吹きが嘘をつく。なんだろう、この適当さ。勧善懲悪とか、ごみ箱に捨ててリサイクルしてしまえ! というようなノリがすてき。

2010/05/03

龍國竣/リュウゴク

この本の肝は、鴻巣友季子により訳出された変な日本語だ。チュツオーラは変な英語を書くナイジェリアの作家だがおそらく鴻巣訳がもっともよく原文の雰囲気を伝えているのではないだろうか。最初は戸惑うのだが読み進める内にのってくる。人身売買が頻出する。

2014/09/18

azimuth

利益なき殺し、報われない善行、罰せられない悪行。笑えると言うより、突き放されて唖然とするという感じ。「嘆きの歌」や「エリザと白鳥」アフリカ版が興味深い。

2010/12/17

感想・レビューをもっと見る