素粒子
素粒子 / 感想・レビュー
どんぐり
ブリュノとミシェルという異父兄弟の数奇な人生。兄ブリュノは高校の文学教師で、幼少時に母親から追い払われ、いじめを受けるなど屈辱的な少年時代を過ごし、性の妄想と現実のなかで次第に精神的破綻をきたしていく。一方、弟のミシェルは、対照的に生涯童貞を貫き通しても苦にならない孤独を愛する科学者である。性の囚われ人を描いているこの作品は映画化されており、ブリュノが女子生徒から拒絶される場面で、母親から叱られているような泣き顔をみせるのが印象深い。いつものウエルベックの文明時評的文章もあり、刺激的である。
2015/04/02
のりすけたろう
ミシェル・ウエルベックは、お気に入り作家なので少しずつ読んでいます。素粒子は、いつも通り性的描写がすごいですが、読み初めから、めちゃくちゃおもしろい\(//∇//)\✨となりました。服従、ある島の可能性に近い感じがたまにチラチラしていて、読み直したい!(*'▽'*)とテンションが上がりまくりでの読了でした。性的描写が多いですが❗️笑 かなりおすすめです\(//∇//)\🌟
2020/12/08
loanmeadime
本書の中では西欧の自滅と呼んでいますが、ニュースに触れて最近とみに感じる世界的な閉塞感の中で、性的快楽はわかりやすいアイデンティティーを与えるのかもしれません。とはいうものの、ポルノにすることを目的としない性描写の繰り返しは、読んでてちょっと苦痛を感じますね。思うに作者の分身的な、ブリュノとミシェルの兄弟は現代の悩みに対処する姿勢のようなものを象徴する気もしますが、片一方は精神を病み、もう一方は成果をのこしながら行方不明と、何ともはや、な話でした。
2024/05/14
amanon
フランスで60年代カウンター・カルチャーの最中で育った異父兄弟ミッシェルとブリュノ。対照的ではありながらも、どこか似通ったところもある二人…なぜだか「悪童日記」三部作の兄弟をつい思い浮かべてしまう。個人的にはさえない思春期、及び青年期を送った兄ブリュノに、同じくさえない思春期を送ったかつての自分を投影してしまいがち(笑)。それにしても、この小説を読んでいると、ここ半世紀の間に、世間の価値観や道徳観がどれだけ変わって来たか?ということを改めて思い知らされ、愕然とさせられる。色々な意味で読み応えのある一冊。
2014/02/17
umeko
都会の地下鉄の様に狭い空間に大勢の人がいるにもかかわらず、お互いが全くの他人であるという空虚な関係を、スキャンダラス(←ここ重要!)に拡大拡張したような世界。ただただ、むなしさを感じた。しかし、兄弟にとってはハッピーエンドだったんじゃないかなぁ。
2010/12/07
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