ベツレヘムに向け、身を屈めて
ベツレヘムに向け、身を屈めて / 感想・レビュー
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印象にのこった部分:p78アメリカでは、金と権力は、金で買える物のためにあるわけでも、権力のための権力のためにあるわけでもなく、完全な個人の自由と移動能力とプライバシーを獲得するためにある。アメリカを19世紀じゅう太平洋へ向かわせたのも、じつは、そんな本能、サンドウィッチが食べたくなったときにはどこかのレストランがかならず開いていてほしいという、自由契約者でいたいという、じぶんのルールで生きていたいという、そんな欲望なのだった。
2015/05/25
Ecriture
ディディオンのコラム・エッセイ・ルポルタージュ集。彼女の著作のうちで最も攻撃的な一冊。映画批評家(中級インテリ)もクレイマーもキューブリックもフォアマンもまとめてバッサリ切り捨てる。毒と皮肉たっぷりの批評めいた文章があるかと思えば、表題作のような60年代ヒッピー文化に鋭く迫ったルポや、冒頭の「黄金の夢を見るひとたち」のようなミステリー風の事件簿も収録されている。2章が断トツで面白い。主に60年代のアメリカを「断絶(孤絶)・偶然性・物語創作」をキーワードに記録し、物語っていく。
2012/09/14
うさポ
かすかな不安と崩壊の予感に揺らぐ、60年代のアメリカ。何かがこわれかけた時代の空虚と喧噪を、繊細な感性ですくいあげる。65年から67年にかけて雑誌に書いたエッセイをまとめたもの。 扉絵、フォント、余白、タイトル、全てが相まって静謐な空気を作り上げている。 夜、エアコンをかけた部屋でベッドの中で読むのが最高。 解説より「ディディオンの小説は、ひどく短い、よく言えば、深い奥行きを感じさせる。」 まさにその通り。話がよく理解できないところがあったけど、そこがまた良い。 ある程度読書に慣れていないと挫折するかも。
2021/08/11
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