新聞王伝説: パリと世界を征服した男ジラルダン
新聞王伝説: パリと世界を征服した男ジラルダン / 感想・レビュー
小鈴
ジャーナリズムと今や当たり前となったマーシャルを結びつけた媒体は、エミール・ド・ジラルダンによって発明された。商業広告の導入によって、従来の予約購読料を半額にした新聞を発行し、新聞の大衆化及びジャーナリズムとコマーシャルの共生関係させた。これにより前近代的な社会が崩壊し、近代的な(≒大衆)社会を産み出した。今や忘れ去られたジラルダンの人生とジャーナルの誕生を描いた作品。
2010/02/08
azur
今は文庫も絶版になっているためか、丁寧に検索して初めてこの本のことを知った。もう25年前の本だが、時間が経っても価値は変わらない。政体がころころ変わる19世紀のフランス史をちょうど復習してから読んだので、歴史的背景の解説がすっと頭に入ってきてラクに楽しめた。
2016/10/23
nranjen
1820年代からの激動の時代、ジャーナリズムの創設と共に生きた男の話。バルザックやユゴーやデュマからユジューヌ・シューなど人気作家の移り変わりがわたし的によくわかった。人民の「教育」高邁な目的と同時に「他者の欲望にこたえる」利益のバランスをとりながら発展していくこのころのジャーナリズムのありようも面白かった。この時代の後も知りたい。
2017/03/18
夢の助
金儲けになりそうなプランや、奇抜なアイデアなら、誰もが思いついくとしても、実行に移し、形にし、成功する、となると、誰にでもできることではない。それをジャーナリズムの世界で実現したのがジラルダン。<意識された自らの欲望を、意識されていない民衆の欲望とつなぐこと>で、ジャーナリズムの新たな歴史を創った。常に時代の先を走ったジラルダンも、政治の世界では、はるか先、100年、200年後でなければ可能とならないようなヴィジョンを掲げて、理解されず孤立してしまう。時代を超えてしまった男の、栄光と挫折。痛快。
2022/06/01
感想・レビューをもっと見る