リヒテル
リヒテル / 感想・レビュー
ピエロ
「Richter」名が示すのは音楽の答え。モンサンジョン=リヒテルによる伝記は200p余りだが、後を埋める300pばかりのリヒテルの日記とも覚書とも取れる言葉はピアノを弾くが如く容赦なく辛辣に奏でられる。演劇に携わる私が心引かれた一文は日記の始めの箇所「自分の録音を聴くとがっかりする。予想した通りの音にしか出会えぬからだ。何の新鮮さも、予想外なことも味わえぬつまらなさ……。」という言葉。一回性に捧げられた音楽の態度と演劇の一回性の演技がそのまま生かされる姿を感じる。
2011/02/13
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