高校生のための小説案内
高校生のための小説案内 / 感想・レビュー
メタボン
☆☆☆★ 各編ごとに出されている設問が非常に奥深く、小説を深く味わうための道標の役割を果たしている。印象深かったのは、電車の中で日本人と朝鮮人が対峙する金石範「虚無譚」、きわめて美しい言葉で語られる三島由紀夫「春の雪」、みずみずしい性描写の中沢けい「野ぶどうを摘む」、古文を現代に鮮やかに蘇らせる氷室冴子「なんて素敵にジャパネスク」、弓で射た女狐が化身となって寄り添う石川淳「紫苑物語」、官能的なグルメ表現の谷崎潤一郎「美食倶楽部」。
2018/05/26
三柴ゆよし
学習参考書の棚に並んでたのを読んで、鼻水出そうになった。石川淳「紫苑物語」、小林恭二『電話男』、レム『ソラリス』、小島信夫「馬」、宮本常一「土佐源氏」、折口信夫『死者の書』……。いちいち挙げていってもきりないが、まず目次に圧倒されるのである。で、早速購入、腰を据えて読んでみると、本書が単なる参考書でもブックガイドでもなく、能動的な小説読解の手引書であると同時に、自身の内にある小説的創(想)造力乃至検証力を練磨するための書物であることがわかる。高校生だけでなくみんな読もう。
2011/03/03
Taito Alkara
読解力のせいかも知れないが、小説は、抜粋した箇所だけでは作者の意図とは変わってしまうのではないか、という認識が強くなった。 手帖の部分が深い。参考になる。
2017/04/01
かわけい
これほど素晴らしい本となぜ出合わなかったのだろう。今会えただけでも幸せですが。案内の案内になる「別世界への扉」が小説とは何か、読書とは何かを具体的にわかりやすく導いてくれる。高校生だけではなく、社会人にも大学生にも、爺さんもにばあさんにも大勢の人に読んでいただきたいと思う本です。
2016/03/29
🦐🍴💓🥑
もっと早くに読んでいれば、と思わせてくれる本はいい。 「手帖」と「別世界への扉」は、小説だけでなく詩や哲学への誘いにもなっている。小説の読み方について知りたくてここ数年いろいろと読んできていたが、まさかこんなベタなタイトルの本からすばらしい収穫があるとは……。 大原富枝『地上を旅する者』との出会いは衝撃的だった。これが言葉でできていることを忘れて、ただただ泣いてしまった。
2016/03/12
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