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悪と日本人

悪と日本人

悪と日本人

作家
山折哲雄
出版社
東京書籍
発売日
2009-12-18
ISBN
9784487801817
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悪と日本人 / 感想・レビュー

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磁石

日本人にとって重要なのは、信じるべきものが疑わしいものになってしまったことではなく、善悪の区別をつけることでもない。大事なのは、何もかもを感じ取れなくなってしまうこと。無常観とか一切空無とか言ったニヒリズムに非常に近しい考え方を持っているけど、それを自分にも適用しようとは思わない。それは、ごちゃまぜで分からなくてもいいから自分の心身に溶かしこんで一体になって、切り離された独りであることを辞めたいがため。混ざり合ったそこは、倫理が入り込むことができない赤ん坊の世界であるため、善も悪もどうでもよくなる。

2014/09/10

ダージリン

久々に山折さんの著作を読む。日本人の心性や宗教観をあらためて考えさせてくれる。後半は対談となっているが、吉本隆明、島田裕巳、平野啓一郎と豪華な顔ぶれで読み入ってしまう。島田裕巳氏とはオウム事件も論じており読み応えがある。宗教はどこか避けて通るところがあるが、しっかり学ぶべきことと思う。仏教、特に親鸞についてはもう少し学ばなければと思った。また日本的なものを知るため、他国を学ぶ必要性も感じる。

2024/10/30

deerglove

山折先生曰く、親鸞の言う極悪人が救われる二つの条件とは、懺悔と教師だと。ほー。また、吉本隆明との対談では、吉本さんから親鸞は浄土の解体者であり、宗教の解体者だとの言葉も引き出しています。俄然、親鸞への興味が湧いてきました。

2016/01/14

マウンテンゴリラ

日本人には善悪の観念が薄いというのは本当かもしれない。子供の頃からの経験を振り返ってみても、一応社会的な善悪のようなものは教えられてきたような気はするが、家族や友人と本音で善悪に関して語り合った記憶もないし、周りにそのような習慣があったという記憶もない。結局、宗教的に超越的な神を持たない日本人にとって、善悪論とは建前論に過ぎないのかもしれない。だからこそ、善悪を超えた信頼関係に基づいた社会を築いてきたのであるが、それさえ失い元来善悪観念の薄い個人に分解していくのが今の日本人の姿であるかもしれない。

2012/12/14

林克也

折口信夫、宮沢賢治、村上春樹、食べることと性との関係、そして宗教との関係、キリスト教は二者択一、アジアの多神、ピエタ像は母子相姦、両性具有、といといろと、しかも最近の自分の読書傾向との一致。良かった。

2010/02/26

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