五木寛之セレクション I 【国際ミステリー集】
五木寛之セレクション I 【国際ミステリー集】 / 感想・レビュー
油すまし
五木寛之セレクション第1巻。このシリーズは2020年の秋に企画され、その時はまさかロシアとウクライナの戦争が起ころうとは……。図らずもロシア問題に通ずる三作が収録された。収録作品は「蒼ざめた馬を見よ」「夜の斧」「深夜美術館」。山崎豊子さんの「不毛地帯」が思い出された。巻末に五木寛之さんと佐藤優さんの対談解説。五木寛之テーマ別作品集、続けて読んでいきたい。
2023/04/07
クラムボン
五木寛之のテーマ別作品集の第1巻は「国際ミステリー集」。昭和40年代中心に3作品。当時の社会背景や著者の過ごした環境が重要なファクターになっている。幼少期を朝鮮で過ごし、戦後に引揚げを経験、早稲田でロシア文学を学んだ。直木賞受賞作「蒼ざめた馬を見よ」「夜の斧」がソ連、「深夜美術館」は朝鮮が背景にある。不可解なことが起こり、それに巻き込まれる型で物語が進み、次第に全貌が見えて来るのだが…。巻末の佐藤優との対談では、本人を前にして、作品の論評と共に独自の五木文学論を展開するので本人は照れくさそうだった。
2024/02/05
ピンガペンギン
巻末の佐藤優との対談を目当てに借りてきた。「蒼ざめた馬を見よ」を書いたあと五木寛之はソ連に目を付けられた。また中国語版は出版出来たが、ある人によく出版出来ましたね、と言われた。その表紙は官能小説のようなヘンな装幀だったそう。それがカモフラージュだったと。佐藤優「ロシアは今も昔も何か権力についてものを言うのは命がけだ。ギリギリのところでものを言っている作家を拾っていかないと。インターネットTVは割と自由がある。」
2022/11/12
Mie
最近の世界情勢と相まって面白く読めた。対談もよかった。 あまりロシア(ソ連)や朝鮮のことについて詳しいとは言えないからどうなのかというところはあるけれど…純文学と大衆文学の中間、と対談で言われていたのはああ、なるほどな、と腑に落ちる側面も大いにあった
2023/07/27
kaorin
遥か昔、両親が持っていた「青春の門」以来の五木寛之作品。国際ミステリー、ゾクゾクした面白さだった。ソ連に関する2作品、ロシア文学はじめ、ロシアの芸術は好きだけれど、何となく闇の部分も多い。その闇の怖さ、怖いけれど覗きたい好奇心、そして逃れられない何か。こちらも読む手を止められない。最後の作品、愛する人を奪われたひとりの女性がとる行動の裏に隠された日本と朝鮮の歴史とは。。。どの作品もこの後の主人公の行く末が闇の中、とても気になるのだが、闇を残しながら終わるのもまた、よし。
2023/06/28
感想・レビューをもっと見る