カールの降誕祭
カールの降誕祭 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
シーラッハから読者へのクリスマスプレゼント。ただし、なんともブラックなプレゼントだ。表題作を含めて3つの短篇からなるが、いずれもドイツの底冷えのするような冬の寒さを湛えたものばかり。共通するのは、人間の深層心理に潜む狂気だろうか。なんともビターな味わいの小説群である。シーラッハの本領発揮といったところか。翻訳はお馴染みの酒寄進一。タダジュンの挿絵は表紙も含めて、まさにこの作品集にピッタリだ。シーラッハのファンはもちろん、ブラックな味わいの小説を好む人、あるいはこの機会にシーラッハをという人に推薦!
2017/12/20
starbro
日本でクリスマスは明るく楽しいイメージですが、ドイツでは会いたくない家族に会うことも多いため、殺人事件が頻発するとのことです。いずれにしてもクリスマスに本書を読むことはオススメしません。短編ながらフェルディナント・フォン・シーラッハの暗澹たる世界が展開して行きます。タダジュン(日本人とは思えない)のイラストも絶妙で、独特の世界観を醸し出しています。
2015/12/05
紅はこべ
薄さにまずびっくり。絵本のような造りなのに、内容は凄まじい。「ザイボルト」なんて、身につまされる人が多そうだ。「カールの降誕祭」は毒親ものか。毒親テーマって、全世界的流行テーマなのか?
2016/01/10
青蓮
シーラッハの短編集。「パン屋の主人」「ザイボルト」「カールの降誕祭」収録。とても短いので、空き時間にさっと読めます。大人の絵本と言う感じ。淡々とした語り口が良いですね。タダジュンさんの挿絵が醸し出す不気味な雰囲気が作品とマッチしていて、読んでて楽しかったです。
2016/01/06
さと
2015年 特筆すべき作家となった。淡々とした語りが、誰にでも心の奥に隠し持つ悲しみや諦念、孤独や狂気をあぶりだしてくれる。読む というより 感じる作品。惹きこまれる という感覚を味わってほしい。 タダジュンさんの版画も 心の闇を彫り出しているかのよう。
2015/12/24
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