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こうしてイギリスから熊がいなくなりました

こうしてイギリスから熊がいなくなりました

こうしてイギリスから熊がいなくなりました

作家
ミック・ジャクソン
田内志文
出版社
東京創元社
発売日
2018-08-10
ISBN
9784488010829
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こうしてイギリスから熊がいなくなりました / 感想・レビュー

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nico🐬波待ち中

こうしてイギリスから熊がいなくなりました…正にこの邦題通りの短編集。読み進める内に古のイギリス人たちは何故こんなに熊に辛く当たるのか、そのあまりの仕打ちに読んでいるこちらも辛くなる。イギリスで野生の熊が絶滅した、という「現実」があるけれど、この作品は熊たちへの贖罪なのか。はたまた人間に対する警告なのか。ラスト、先を見据え大海原を進むイギリスの熊たちは数々の記憶を置き去りにし、自らの意思でイギリスを後にする。熊たちの心中を察すると、とても切ない。秋の夜長に深く考え込ませる作品だった。

2018/11/02

MICK KICHI

ブリテン島から熊が姿を消したのは11世紀頃、夥しい数の個体が消えてしまっている。英国で狩猟の対象になった動物は膨大な種類と数になったらしい…。ニホンオオカミやカワウソの比じゃないような気がする。「クマのプーさん」や「パディントン」はぬいぐるみ、バッキンガム宮殿の近衛兵は熊皮の帽子を被っている。相当に奇妙だ。過去の贖罪かはたまた風刺か。そうした背景を寓話的に8つの話に散りばめて、イギリスの国民性を滑稽で悲しいトーンで語っている。神話的結末が熊や生き物たちへの哀悼に感じられてならない。

2018/08/16

あも

難しい…。この短編集に収められた物語には何らかの寓意が込められているのだろうか。現実のイギリスにおいて、熊は狩猟の良き獲物であり、ベアーガーデンでは犬をけしかけられてしばしば死傷し、現在では野生の熊はいない。ということを鑑みると何かしらの教訓を感じられそうではあるが。もしくは被差別者のを表すアイコンとして。でも、単に奇妙な話、おかしな童話として読めば良かったのかな、と思う。ロープを渡って逃げ出す熊、下水道から物を拾ってきて人と取引をする熊。素晴らしく雰囲気のある挿絵の魅力とともに、不思議な物語に浸れれば。

2018/11/23

ペグ

短編でありながら、全体的に緩やかに繋がる、人間たちの大騒ぎと、寡黙な熊達が印象的な八つのお話。硬質で無機質な画面に風が吹き雪が舞う挿絵も好き。仄暗い光の中静かにイギリスを去って行く熊達。ポール・ドハティ「アセルスタン修道士シリーズ」に描かれた鎖に繋がれ見世物になっていた熊を思い出します。あとがきから先に読んで納得。自分にとっての今年のベスト本です。

2019/12/05

aquamarine

イギリスが島国であり、イギリスには野生のクマがいないということは、なにかの折に聞いて知っていました。この本はそんなイギリスからどうしてクマがいなくなってしまったのか、という大人のための童話。殆ど人間同様に人間のそばで暮らしていたクマたちは、精霊と恐れられたり、サーカスで働いたり、下水道に閉じ込められて労役につかされたりしています。8つのそれぞれのストーリーで最後にクマたちが取った行動は…。これをユーモアやアイロニーと捉えるか、人間の傲慢さを感じ取るか、人によって思うことは違うのかもしれません。たっぷりの→

2018/08/10

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