合本・青春殺人事件 (創元ミステリ’90)
合本・青春殺人事件 (創元ミステリ’90) / 感想・レビュー
いちろく
可能キリコと牧薩次のコンビの初期作品を纏めた合本。オリジナルは今から40年以上前に刊行されており、意外な犯人と作風が特長という事前情報に興味を持ち手に取った。例えば、「仮題・中学殺人事件」は一番始めのページから読者が犯人である事を明言して物語が進む構成。他では絶対に真似できないでしょ?と一度目にしたら印象に残る点が面白い。コレまでにないモノを作品にしていく試みが伝わる点は興味深く、解説でも触れられていた点は納得しながら読めた。ミステリ小説も歴史的な流れがあり前衛的な試みが繰り返されてきた事を改めて実感。
2018/05/16
たかなし
とある方が女性名探偵~の話題でチラッと言ってたのでやっと読めました…これ犯人が読者だって最初に宣言しててそこから物語が進んでいきます。…これ読んで推理小説の可能性が広がった素晴らしい小説だと思います。スーパー可愛いです(*≧з≦)好きなのは受験の話。
2018/07/14
くみ
読書会で紹介していただいた本。「作者の辻真先さんは現在85歳で未だ現役、アニメの感想もツイッターで投稿してる」とのお話に、俄然尊敬と興味が湧きました(*゚▽゚*) ご紹介は「仮題中学殺人事件」でしたが、図書館には90年に総集編として出版されたこちらのみでしたので、三部作読みました。 ストーリーも会話もテンポよく気持ちいい一方、途中から幻燈絵を見ているような浮遊感と自分の立ち位置がわからなくなるような恐怖感も覚えたのが不思議。 予想以上に濃い一冊でした。 中学生の時、読んでたら更に色々と刺激的だったかも。
2017/05/07
慧
★★1/2
2001/11/22
深川拓
著者が1970年代に発表したキリコ&薩次シリーズ初期長篇3作と短篇1作を合わせ、プロローグ・エピローグを添えて合体させた本格推理。すべてが《意外な犯人》という、凄まじく遊戯的な作り。いささか粗いし、趣向の性質を先に言ってしまうと物足りなさを禁じ得ない可能性もあるが、発想を成立させるための仕掛けの丁寧さに舌を巻く。また、当時の風俗や、十代の少年少女が直面していた現実を織り込んでいて、意外なほど重みもある。合本としてまとめる趣向も含め、洒脱な稚気が楽しい1冊。
2022/02/17
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