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犯罪

犯罪

犯罪

作家
フェルディナント・フォン・シーラッハ
酒寄進一
出版社
東京創元社
発売日
2011-06-11
ISBN
9784488013363
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犯罪 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

シーラッハのデビュー作。11の短篇を収録。配列に意図があるのかどうかはわからないが、結果的には見事な構成となっている。冒頭の「フェーナー氏」は生きて行くことの哀しみを、そして巻末の「エチオピアの男」は歓びを語る。小説はいずれも刑事弁護士である著者の経験から脚色されたものだろう。文体は極力感情を排し、事実のみに淡々と語らせて行く手法。それはそのままドイツにおける裁判のあり方をも反映したものであると思われる。そして、それは法治国家ドイツの理想とするところでもある。それを顕著に反映するのが例えば「正当防衛」だ。

2017/08/05

財布にジャック

作者が弁護士だからなのか、犯罪を犯した人々を描いているのですが、なんだか救いの感じられるお話が多いと感じました。しかし、リアルでグロテスクな描写の部分は、実話に基づいているようなので、どんなミステリーを読むよりもある意味ぞっとさせられました。11ある短編の中でも、特にトップの「フェーナー氏」とラストの「エチオピアの男」が印象的でした。また「緑」や「棘」も不思議なお話で味わい深いものがありました。「ドイツで大ベストセラー」の看板に偽りのない素敵な本に出合えました。

2012/01/10

yumimiy

縁あって手に取る。ドイツ人弁護士のデビュー作、本国でクライスト賞、日本では本屋大賞「翻訳小説部門」第1位を受賞。洋書は久々なので恐る恐るopen a book…💦お!11話の短編集でホッ😀物事は込み入っていることが多い。罪もそういうものの一つ、この本はそういう人たちの物語。シーラッハ独特の文体で因果の不思議さが一話一話に詰まっていた。シーラッハは刑事事件弁護士、当然守秘義務があるのでこの「犯罪」は作り話。だから11話すべてにリンゴを登場させている。マグリットの「これはリンゴではない」最高のユーモア👏

2022/08/18

さと

素晴らしい。弁護士でもある著者が実際の事件を題材に綴った短編集。感情を排除した語りが重さを感じさせず、感動や同情とともに読ませようとする意図がないのがいい。それでいてこんなにじわじわと心に沁みてくるとは感動的。化学調味料でうまく味付けされたものではなく素材の味をそのままにいかした料理といった感じ。人の心が生んだ犯罪ではあるが、一本の木を引き抜いた時複雑に絡み合った根が姿を現すように一件の事件にも罪を犯した人、関わった人たちの哀しみや苦しみ、愛が複雑に絡む。

2014/12/31

ナイスネイチャ

図書館本。本屋大賞翻訳部門受賞していたので。実話を元に弁護士から見た色々な犯罪を犯した人の哀しさや切なさを描いた短編集。ちょっと自分には合わなかったかな~。最後の「エチオピアの男」は良かったけど。続編は遠慮します。

2014/08/13

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