ジョナサン・キャロル短編集 2 (海外文学セレクション)
ジョナサン・キャロル短編集 2 (海外文学セレクション) / 感想・レビュー
雪紫
表題作はこの物語全編を表す。黒い黒い黒い。そして一部難解。表題作のラストにぞくっとしたし、「卒業生」はあれより酷くないが似たような夢は見たのでぞわぁっ・・・とした。ホラーじゃないのに何処か身近でぞわっとする。
2021/04/03
ニミッツクラス
【日本の夏は、やっぱり怪談】〈其の三・和洋折衷〉 97年(平成9年)の税抜1600円の単行本初版。米国版を本邦で2分冊した後半で9編収録。06年に灰背文庫化。前半の姉妹編「パニックの手」は13編収録だから本書は値段を50円下げた。奇譚が主で怖い話はない。表題作の「黒いカクテル」は掉尾を飾るに相応しい秀逸さがある。人は本来5人一組(手足の指が5本なのは意識するため)で、人生において5人が一堂に会する事があれば……この作品はF系SF長編でもいけそう。中編のままでは筆致が速駆けで惜しく感じる。★★★★☆☆
2023/08/10
星落秋風五丈原
彼は道の向こうを指さした。その先を追うと、男の子が信号の柱にもたれている。「あの赤いシャツの?」「ああ。クリントンだ」おれはにやっとした。「十五歳ぐらいのガキだぜ」「わかってる」え?子供のころ太って冴えなくて成績もCだった彼を、ひたすら護ってくれたワルガキのクリントン。それがあそこにいる子?二十年も前の話じゃ…ある人間たちを結びつける“絆”。その邪悪な真実と永遠の絶望を描く表題作など、『パニックの手』に続く短編集第二弾、全九編。
2011/01/31
mejiro
「あなたは死者に愛されている」「我が罪の生」「いっときの喝」「黒いカクテル」が特におもしろかった。『パニックの手』のほうが好みの短篇が多いけど、こちらも読ませる。「我が罪~」、最後の光景のイメージが妙に鮮やかだった。「いっときの喝」、情け深いこの家が泣けた。無二の親友なみに得難いのに…。守られていたと気づいたとき、幸福と失ったものがいっそう胸にこたえる。「黒い~」、今まで読んだことがない発想にさらに捻りがきいた結末。いちばん持ち味が出ている短篇に思えた。
2018/09/18
田楽
全9編からなる短編集。どの作品も現実と虚構の境界があいまいで、仄暗い雰囲気に包まれています。個人的に「卒業生」が想像しやすくて読みやすかったです。解説にダークファンタジーとあって、作品をよく表現しているなと納得と感心しました。
2014/02/13
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