血の雨: T・コラゲッサン・ボイル傑作選
血の雨: T・コラゲッサン・ボイル傑作選 / 感想・レビュー
三柴ゆよし
高橋源一郎か柴田元幸のどちらかにいわく、コラゲッサンボイルはどれを読んでも一流半なのだけれどそれがまたいいと。いいかどうかは好みわかれるが、チャールズ・ブコウスキー、バリー・ハナ、アーサー・ブラッドフォードといったアメリカ文学におけるクズ文学好きにおいては必読といえるのが本書で、大胆な奇想も芳醇な物語も精緻な人間観察もここにはなにもなく、ただノリだけで読ませてしまう力強さがある。それにしても「人間の退化」は翻訳の問題なのか以前なにかのアンソロジーで読んだのとは印象異なり、こちらはずいぶんコミカルな印象。
2014/08/14
那由多
図書館の棚にささった、表紙も小口も真っ赤なこの本がずっと気になってました。写真では違う色ですが、赤色です。目次もアメコミ風で、各あらすじも血の雨が降る、チンパンジーに彼女を取られる、名犬ラッシーの諸事情などクセのある話ばかり。やや乱暴でカラッとしててシュールでグロ。平山夢明っぽいなと感じた。
2023/10/25
秋 眉雄
訳者あとがきによると『大きな翼のある、ひどく年取った男/ガブリエル・ガルシア=マルケス』『善人はなかなかいない/フラナリー・オコナー』コラゲッサンが、お気に入りの作品としてあげたのがこの二つだそうです。ピンと来た方は是非。訳の分からないうちに巻き込まれるような物語が多いですが、ジメジメ系ではなく、それでいてカラッと系でもありません。なんというか、ヒャッハー系とでもいうのでしょうか。そんな感じでした。面白かった。『ケロッグ博士』を購入。
2017/09/28
hirayama46
はじめてのT・コラゲッサン・ボイル。90年代後半から2000年代前半くらいの翻訳文学はいっとき日本で流行っていたJ文学の流れなのかもしれませんが、刺激的でアヴァンギャルドなものが多く翻訳されていた印象があります。思えば、アーヴィン・ウェルシュやチャック・パラニュークの翻訳もそんな流れだったのかも。わたしはこういうのが好きなもので……。こういう洗練されていない雰囲気の尖った作品には特有の魅力がありますね。
2022/09/14
渡邊利道
アメリカ人作家の短編集。ゴシックな雰囲気がある。皮肉っぽくて、陰惨で、ざらっとしていて、ウェットで、グロテスクで、さびしい作品集。荒唐無稽なのがとくに悪夢的で面白かった。ちょっとムラがある感じもするが、なかなかよかった。
2017/06/10
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