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孤児の物語 I (夜の庭園にて) (海外文学セレクション)

孤児の物語 I (夜の庭園にて) (海外文学セレクション)

孤児の物語 I (夜の庭園にて) (海外文学セレクション)

作家
キャサリン・M・ヴァレンテ
井辻朱美
出版社
東京創元社
発売日
2013-01-29
ISBN
9784488016524
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孤児の物語 I (夜の庭園にて) (海外文学セレクション) / 感想・レビュー

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星落秋風五丈原

瞼に文字を埋め込んだ女童が語る物語にスルタンの息子が足しげく通うようになる。この構図はまんま千夜一夜なのだが子供同士なのであくまで色っぽくはならない。本当に話中話のオンパレードで、時々この話はAという人の話に出て来るBという老婆が出会ったCという…」と再確認しながら読了。アラビアンナイトはもとよりアンデルセンやグリム童話、様々な民話のエッセンスを詰め込んだエピソードが登場。馬と人間の女性が交わるという話は長野県諏訪地方にもあったような。姉皇女は息子と女童の仲を邪魔しにくるが続編では態度を急変。

2016/01/06

take0

絢爛たるミザナビーム。人々から忌避され独り庭園に棲む女童が王子に語り始めた物語は、次々に語り手を変え次の物語を語り紡いでいく。生い茂り枝葉を伸ばしていく物語の中で、再会しその消息を知ることのできた者もいる一方、女庭師や鵞鳥の娘、その先を知りたくなった者達もいて、王子のように更に女童に続きをせがみたくなった。絡み合う蔓草のような縁(えにし)の糸で編み上げられ織り成されたその織物は、馥郁たる異国の香油と花の薫りの匂い立つ、血の赤と夜の漆黒、哀しみと別離で彩られた、気高い女達を讃えたタペストリーとなっている。

2019/01/20

すけきよ

少女が語る物語中のキャラクターが語る物語中のキャラクターが……と『千夜一夜物語』と同じ構造。次々と展開していく物語に、一つ前の物語を忘れさせるほど引きこまれ、今がどのレイヤーにいるのか見失う。ある物語では主役でも、別の物語では敵として語られていたり、別の視点の物語があったり、人生同様、全てのエピソードは相対的。非常に重層的であると同時に、以前登場したキャラクターが全く違う話で出てきたり、いくつかのレイヤーを貫いて存在するキャラクターがいたり、女童が語る世界は極めて立体的な構造をしている。

2013/02/05

静間

奇妙な痣を持つ女童の語る痣に記された物語。白鳥の女。カワウソの王。皮を売り歩く男。女海賊。グリフォンを追う一つ目。語る女童も異形だが、語られる側も異形。万華鏡のようにくるくると移り変わり。迷路のように繋がり合い。語られる魔術のように奥深いお話。欲を言えばもう少し一つ一つのお話が長いと読みやすかった。次々と始まる物語に惑わされっぱなしだった。あるお話で出てきた人物が別のお話では別の立場で出てくる。私にもっと記憶力があったらもっと楽しめただろうな。読むごとに奥深く、その時の読み手の状態によって印象の違うお話。

2013/03/14

rinakko

素晴らしい読み応え。途方もない世界を駆けめぐり、時には悪夢めく異様な眺めに目を疑った…ので、大好きだ。次から次へと語り手を変え、奥の奥の方へ、めくるめく新たな驚異に捕り込まれる心地。耽溺した。後書きにもあるが、創世神話から始まり各々のモチーフに至るまで、既視感のないことが、魅力でもあり凄まじいところでもある。突然始まるグロテスクな展開。何故そんな発想が…と唖然としつつ、魅入られた。“王子なんてものをあてにするんじゃない”と、魔女は言い放つ。女童から老婆、聖女に女海賊に女予言者…と、女たちが力強いのも印象的

2013/02/27

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