孤児の物語2 (硬貨と香料の都にて) (海外文学セレクション)
孤児の物語2 (硬貨と香料の都にて) (海外文学セレクション) / 感想・レビュー
星落秋風五丈原
女童の語る物語に反発していた皇女もついに物語のとりこに。日本の妖怪カッパも登場。女童の出自も明らかになる完結編。
2016/01/08
take0
Ⅰ、Ⅱ巻併せて千頁を超す分厚さもさることながら、女童のいとけない声から語り始められる物語は、物語の中で次の語り手が更なる物語を語り紡いでいき、その無限回廊のようなミザナビーム構造、ポリフォニックな語りが読む者を途方もない物語の豊饒な世界へと、物語の愉しみへと導いていく。蛇行しながら幾つもの支流へと分岐し、時に途切れ時に再び合流するストーリーに翻弄され幻惑される。数奇な因果はむすぼれ、ほどけ、数多の女達、男達、そして人ならざるもの達の声が奏でる哀しみ、嘆き、悼み、怒り、歓び、諸々の歌が響き合う。
2019/01/25
はる
図書館本。終わりが無いかと思われた分厚い本を、長い長いものがたりを読み終える。色彩や匂いや手ざわり肌ざわり、痛みや喜び、おそれや憧れ、いろいろなことがたくさんありすぎて、終わるのが惜しい。もう一度庭園の片隅で、森で、船で、不思議な都で、行きつ戻りつしながらものがたりの中にいたい。女童の瞼に書かれたものがたり…。また、いつかきっと。できればⅠ、Ⅱと揃えていつか手元に置きたいと思う。(挿絵がまた好みの絵!)
2014/12/25
すけきよ
今回は途中から語り手が皇子となり、物語を読むことはその一部となることを改めて教えてくれ、また、彼の姉の言葉は物語に託された希望やそれが持つ力を教えてくれる。入れ子がどこまでも続き、一番奥が閉じられると次々と上のレイヤーも閉じられて、一気に女童と皇子がいる庭園まで引き戻されるのも前作同様。しかし、今回は、蓋が閉じられたはずの物語は濁流のようにそこを突き進みながら庭園さえも飲み込み、語り手と物語を分けるレイヤーは判別がつかなくなってしまう。そして彼らは、また新たな一頁となって、誰かに語られるのを待っている。
2013/07/04
静間
女童の奇妙な痣に記された物語。踊る靴、河童、失われた都、宝石を食べる生き物。前巻と同じく、くるりくるりと物語は変わり、つながりあい、曼荼羅のように世界を内包する。そして少しグロテスクで表情豊かな物語は読者を翻弄する。分厚い本だけど次にどんなお話展開されるのか気になって次々とページをめくった。お話には河童など民話や神話がベースとなっていて、作者の個性的なアレンジが施されているものもあって楽しめた。ただ、前巻の時もそうだったが、私にもっと記憶力があればより、楽しめたと思う。それだけ残念だった。でも面白かった。
2013/08/29
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